不定期連載
BACK NUMBER
GALLERY
TOPへ
「日本橋床面洗浄作業開始前」

2007年4月28日(土)
AM6:35 市営地下鉄なんば駅5番出口より地上にあがった。 
思ったより早く着いてしまった私は、途中のマクドナルドへ入った。
ブレンドコーヒーS・100円を手に持ち、客のまばらな2階の禁煙席に座った。
向かいのオレンジのボックスシート越しの窓からは、
外の植栽の葉が朝の光に透けているのが観え、この地域性を剥奪した消費空間にも
等しくやさしい光が降り注いでいた。
私は、しばし、店内を満たす陽光のなかでコーヒーをすすると、席を立ち、
高架から伝わってくる車の音をききながら本日の作業現場へと向かったのだった。
第50話
「新緑の午後」

2007年4月29日(日)
本日は、中央区の現場二か所という労働的には重いものがあったのだけれど、
今日頑張れば明日は休みという希望が、我々を支えてくれていたのは、事実だったと思う。

無事終了し、わんぼる君と堂島で落ち合った。
私は、喜びと開放感から、普段なら行かない様なキャフェーに行きたいと申し出た。
労働後の体の鈍さを吹き飛ばしてくれることを願い、私はアイス・ピーチティー
とシナモン・フレンチトーストを選んだ。
シナモンパウダーとメイプルシロップがたっぷりかかったフレンチトーストが出てきた。
ナイフとフォークで切り分け食べると、まるで、ニッキと黒蜜の郷土菓子を思わす様な
力強い風味で、想像以上に元気になれた。
太めのストローで桃の味の紅茶を吸い込んで、帰りは、新緑に強い光が射す中、二人して
チャリンコで周遊し、駅裏のジャスコで晩の買い物をして帰った。
第51話
「天王寺〜写楽そしてチキンライス」

2007年4月30日(月)
今日は、一日休みだというのに、悲しくもいつもの時間(AM4:45)に目が覚めてしまう。
目覚ましもかけてないのに・・。
トイレ行って、また寝たけど今度は、腹減ってきてしんどくなる。

AM7:00に起きてズーム・イン見ながら朝メシ。
少しだけ作業して、AM9:00に二人で、天王寺へ出掛けた。

大阪市美へ“ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展”を観に行った。
久しぶりに歩いた天王寺公園は、カラオケ通りが無くなって植え込みに変わっており、
一見、家族連れで賑わう平和な休日の公園に見えたが、
やはり、どこかダークな空気が、茂みの奥辺りから漂っていて
私は、新緑を満喫していた訳ではなかった。

“ギメ美展”写楽よかったなぁ。
グレーの雲母摺りがピターッと決まっていて、黒のライン、オレンジの着物といい格好良かった。

一通り観て、新世界へ向かって歩いた。
通天閣下の喫茶店で、コーヒーを飲んで休んだ。
恵比寿町に抜け、まだ、本格始動していないエロゲー関連の雑居ビルの裏通りを適当に歩き、
堺筋沿いの、半・屋台で、マグナムドライ、たこ焼、チキンライスを丸椅子に腰掛けて食った。

中古レコード屋の店先から、レッド・ツェッペェリンが鳴り響く中、我々は、上気して歩いた。
ディスカウントの自販機でペットボトルの水を買い、乾いた喉を潤し、
難波から電車に乗った。
またしてもジャスコで晩の買い物して帰った。

帰り着くと、美術館で買ってきた写楽のハガキをトイレに立て掛け、
思い出に浸った。
第52話
「雨の休み明け」

2007年5月1日(火)
本日は、配達中ずっと雨だった。
休み明けの鈍った体には、丁度良いリハビリになったと思う。
帰り、スーパーの鮮魚コーナーで、晩のおかずにトビ魚を刺身用に短冊に卸して貰った。

家に帰り、昼飯食って、昨日スタンバっていたキャンバスに絵を描き始めた。
途中、どうも、気持ちが濁ってきた感じがしたので、
気分を変えようと、台所に行って、蛇口をひねり、
晩のおひたし用の小松菜をザバザバと洗ってザルにあげた。
そして、ベランダに出てみた。
雨は止んでいて、灰色の雲の層のむこうに薄い水色がみえていた。
―ああなりたいと思った。

ヤカンの湯ざましを飲んで、続きを描いた。

第53話
「夕方」

2007年5月2日(水)
夕方、玄関の新聞受けに水道代の請求書が入っているのに気が付いた。
面倒だが、下の管理人の婆さんの所へ支払いに行った。
せっかく出てきたので、図書館に行った。
見飽きてきた書架をジーッと見て、結局、何回か借りている本を
また借りた。
薬局に寄って、トイレットペーパー買って帰った。

第54話