不定期連載
BACK NUMBER
GALLERY
「再び日常へ」

2007年5月7日(月)AM8:12 眩しい光の中、人や、車が行き交う北区の街を俺は、
連休でボケた頭を軌道修正する様に配達に勤しんでいた。
意外と勘は鈍って無かった。

業務終了し、いつものスーパーで、鰤、小松菜、弁当用に、卵、鶏ムネ肉を買って帰宅。
わんぼる氏作の、弁当をテレビ観ながら食った。
画面の中のウィーン少年合唱団が歌う“涙そうそう”を聴きながら、ウーロン茶を飲んで一息つくと、
立ち上がり、晩飯の鰤を煮た。
晩の準備をあらかた済ますと、作業にかかった。
昨日作ったパネルに合わせ、布を裁断。
シワをとってジェッソを塗るまでやって、近くのクリーニング屋へフィルムを同時プリントに出しに行った。
部屋に戻り、エスキスしとると、わんぼる氏から仕事終了の電話。
台所に立ち、鍋を火にかけ、7時のニュースをつけた。

いつの間にやら、昨日までの休みが、遠い出来事になっていた。
第59話
TOPへ
「ベランダ劇場」

2007年5月8日(火)午後1時半過ぎ 配達業務〜買い物と済ませて帰宅。
あまりに天気が良いので、穿いていたジーパンやら洗おうと、ポイポイ脱いで、
洗濯機に水をためた。
洗濯しながら昼飯の準備中、ふとベランダを見ると、
今朝、わんぼる君が洗濯して干して行ったタオルと寝巻きの隙間から、
差し込んできた光が、植木鉢の小さなクローバーの葉の群れをコンクリートに描き出していた。
その光は、薄い葉っぱと細い茎を一つ残さず克明に地面に写しており、
実像と全く同じタイミングで一斉に風に揺れていた。

急いで、カメラを取って戻ってきたが、もう、先程とは陽の角度が変わっていて、その影は跡形も無く消えていた。
ほんと一瞬やなぁ・・と恐れ入り、テレビをつけて、味噌汁を器に注いだ。
第60話
「〜立たなきゃ昨日へ逆戻り〜♪」

2007年5月9日(水)
昨日に引き続き、今日も大阪は、夏日だった。
半袖を出したいところだが、長袖の制服で配達まわっている。
水曜日にして、この長袖を洗うのはもったいない。俺の貧乏性が、発汗を加速させた。
来週の俺は、もう半袖だろう。
いつも、季節はいつの間にやら変わっていく。

業務完了し、買い物して帰宅。
昼メシ食って、消費カロリーを補うと、晩のおかずだけ先に作った。
アラスカ産・カラスカレイ2切198円を煮た。
煮付け完了し、コーヒーいれて、
あしたのジョーのテーマを口ずさみながら、となりの部屋へ入場し、電気をつけた。

パネルが俺を待っていた。
紀ちゃんのサンドイッチが食べたい・・。
トマトの一列を・・・。
第61話
「雨〜突風 そして画材屋」

2007年5月10日(木)今日は、雨と集金とで、なかなか思い通りに配達出来なかったが、どうにか任務完了し、
いつものパターンで帰宅。
メシを食い終え、梅田の画材屋へ絵の具を買いに出た。
雨上がりの外は、思いの外、グッと気温が下がっており、俺は、上着のチャックを上まであげた。
駅まで続く国道に出ると、背後から、風に舞い上げられたビニール袋が物凄いスピードで目の前にすっ飛んで来たかと思うと、
消失点に向かって一気に突き進み、車道へ大きく飛び出し視界から消え去った。
俺は、帽子を押さえて歩いた。

梅田に着き、休憩中の店員が談笑している中華料理屋の脇を歩いて画材屋へ向かった。
メモ紙に書き出してきた絵の具だけ買って店を出た。
帰り、駅で今度のビル清掃、江坂やったなぁと思い出し、ICOCAチャージして帰った。

第62話
「作業日報」

2007年5月11日(金)
昼飯を食い終え、晩飯の準備をあらかた済ませてから、絵を描き始めた。

陽が暮れる頃、どうにも絵の流れが良くない方へ行っている様に思え、
ひとまず筆を全部洗い、バケツの水を新しく入れ替えた。
部屋の窓を開け、外の空気を入れると、流しに立ち、晩のおひたしの小松菜を洗った。
ネスカフェをいれて、尾崎豊をかけた。

もう一頑張りしようと思った。

第63話