「結局バタバタ・・」

2007年5月18日(金)
毎度のパターンで帰宅・昼飯、そして洗濯まで済ませ、明日からの留守に備えて
ベランダの植物達に給水器をセットする。

すぐに展示用の小道具の準備に取り掛からねばならんのに、トイレ掃除してしまった。

PM4:00 気を落ち着け準備に入る。これまでの展示で使えるもの確認し、足りないものを
買出しに梅田へ出た。
画材屋〜文具屋とまわる。途中、仕事終わったわんぼる君と合流した。
帰りジャスコの3階で、予備の金具を買い、コンビ二でコピーして帰宅。メシ作って続きにかかった。

明日は、東京だが、行動に実感が持てないまま過ぎていく今日この頃である。

第69話
不定期連載
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「刺激と感傷」

2007年5月19日(土)
新大阪から、AM8:27発のぞみ210号に乗車。
発車と同時に眠ってしまったらしく、気がつくと窓の外には、風力発電の風車がブンブンと回っていた。
浜名湖の様だった。
残念ながら、富士山はガスっていて見えなかった。
そうこうするうちに熱海を過ぎ、AM11:00 東京着。

東京は、雨上がりだった。
手荷物で持参した作品類をひとまずホテルに預けようと(搬入は明日なので)、
大手町から東西線→日比谷線と乗り継ぎ人形町のホテルへ。手荷物から解放され、いざ出発。
とりあえず、腹が減ったので、
通りがかりの居酒屋のランチ(私はカレーラーメン定食、わんぼる君は鮭塩焼定食)を食う。

向かいのドトールで一休みして、まずは、日比谷線で六本木へ。
ミッドタウンのANDO建築を目指した。

高層ビルを抜けると、現れた低いグレーの屋根‥。あれがそうか!?高鳴る胸‥!速まる足!がぶり寄る俺達!
ステルス戦闘機の様な形態が視覚に突き刺さって来る。
興奮冷めやらぬまま、内部に足を踏み入れると、
眼が焦点を結ぶ先で交差するコンクリートとガラスで構成された空間に光が降り注いでいた。

ひとしきり、その光と影の構造の中を回遊し、ため息をつくと、名残惜しみながら、次の目的地へ移動した。

乃木坂から千代田線に乗り、小田急線で祖師ヶ谷大蔵下車。
環八通り沿いの隈研吾建築に向かった。

排ガスで、いがらっぽい環八に出ると、向こうに皮肉に満ち満ちた肝の座った建物が本当に建っていた。

近付き、その拡大された虚飾と、その背後にある確信犯的思想にやられた。
絶えず行き交う自動車と、午後の逆光がより我々の暮らしを浮き彫りにしていた。

帰りは、住宅街を抜けて駅まで戻り、駅前の喫茶店に入り受けた衝撃を整理した。

夜は、学生時代お世話になった赤坂のボスと六本木で落ち合う事になっていたので、再び乃木坂に戻った。

PM6:00六本木でボス夫妻と合流。
東長崎のそば屋へ案内された。
住宅街の中にある、一見お店とは思えない民家で、座敷の外は広い縁台が施されており、
低いブロック塀に囲われた庭には、雑草と木がいい加減で生えていた。
ビールで乾杯し、わさび菜をいただいた。
思い出と現状が入り乱れた会話に、みなで笑った。
いつしか、焼酎にかわり、時折、庭に目をやると雑草とブロック塀が良い感じで、私は竜安寺を思った。

ホウボウの昆布〆や卵焼き、そして最後にそばをいただいた。そば粉が腹の中で力になって行く事を実感しながら、
我々は、店を後にし夜風に千鳥足で歩いた。
あたたかいボスの計らいでタクシーでホテルまで送られた。

明日の搬入の緊張は拭い切れ無かったが、酔いに任せてベッドに倒れこみ、
今日一日の出来事が記憶となって旅立って行くのを見送った。
第70話
「緊張〜達成感そして挫折」

2007年5月20日(日)
本日は、ついにrojicafe搬入日である。

AM7:30起床。シャワーを浴び、身支度して、ホテルの朝食へ。
セミダブル・朝食付きで7,200円は安い。
オレンジジュース・コーヒー・クロワッサン・胡麻パン・丸パン・ポテトサラダを、
多数の外国人旅行者のファッションに心奪われながら食べた。

チェックアウトのラッシュアワーに混み合うフロントで焦りながらAM9:00人形町出発。
ビルの間から見える空は、真っ青に晴れ渡っていた。
地下鉄を乗り継ぎ、池袋から東上線へ。

そうして私達は、5ヶ月ぶりに中板橋のホームに降りた。改札を出ると、駅前の植え込みの木の葉が
青々と育っていて、時間の経過を感じた。DMの地図を再確認しながらrojicafeへと急ぐ。

AM10:10 約束の時間より10分遅れてrojicafeに到着。
オーナーのお二人にご挨拶をし、早速、到着していた作品の開梱を開始する。
店内では、なんと、ナンバーガールの1stがかかっていた。
私は、大阪の部屋から掘ってきたトンネルが中板橋の2階に通じた様で、本当に嬉しかった。

設置位置が決まっている大きいサイズの作品から、わんぼる君とのタッグにより、ネジ位置を決めて行く。

オーナーのお二人が、いれて下さったお茶をいただきながら、暫し談笑し、作業再開。
店内に徐々に入り始めた自然光に心澄み渡る。窓ガラスには、葡萄の葉が透けていた。

続いて、小作品をバランスをみながら設置。
最後に作品リスト、ファイル等を並べ
梱包資材をかたずけ、掃除してPM0時過ぎ、無事作業完了した。

帰り際、表でお二人の写真を撮らせいただいた。正午過ぎのクリアーな光の中、
ファインダーから覗く二人は、とてもいい顔をしていました。
次、来れるのは、2週間後の最終日である。名残惜しいところではあるが中板橋を後にした。

池袋から、日暮里下車。駅前でラーメン食って、谷中を抜けて上野公園へ向かう。
今日から、上野の森美術館で、「アートで候。会田誠 山口晃展」が始まっているのだ。
木漏れ日の中、あらためて樹が多いなぁと思いながら美術館到着。

いざ、入場。会田さん、山口さんの高度な技術とアイデアの作品群、さらに巨大な新作を目の当たりにすると、
先程までの私の達成感がちっぽけなものに思え寂しくなって、またやる気が湧いてきた。
特に、2階でみた会田さんの“世界バカ会議”なる作品の熱いメッセージを読んでいると、
思わず目頭が熱くなってしまいイカンイカンと思いをこらえた。

一通り観て、まぶしい外に出て、二人で感想を言いながら歩いた。
じゅらくで休む事にした。私はレモンスカッシュを飲んだ。甘かったけどよかった。

アメ横を抜けて、御徒町からJRで東京駅へ。

16:50発 のぞみ45号に乗車した。またしても、いつの間にか寝てしまい、目を覚ますと
並んだ水田が夕暮れの空を反射しながら、東へ流れて行った。
第71話