「ずぶ濡れ、そして陽光。」

2007年5月30日(水)
午前6:20 鳴り響く雷と共に降り始めた雨の中、俺は“さすべえ”と効果の無くなりつつあるゴアテックスで
完全防備し職場へ向かった。

午後0:30 運送業務完了。結局、配達中、雨が止むことは無かった。

雲が切れはじめ、時折、小雨がパラつく中、いつものスーパーへ向かった。
ずぶ濡れで冷えた体を、生鮮コーナーの冷気が襲う。
野菜がイマイチだったので、イワシ(今晩用)と鶏ムネ肉(明日の弁当用)を買ってから、
駅裏のジャスコへ行き、トマトと、おひたし用に大根葉を買った。
ビニール袋をぶら下げ、出口へ向かうと、外は、明るい陽射しに照らされていて、
ロータリーの木々は、緑の葉を光に透かしていた。
もう光なんて出ないと思うほど、灰色になっていた俺の心は、その温もりに驚き、感謝した。

帰ったら、今日は、西区の写真屋へプリントしに行くつもりだ。
第81話
不定期連載
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「振り返り、思い出す。」

2007年5月31日(木)
PM2:00 いつもの様に買い物まで済ませ帰宅。
帰りがけ、頭の中でずっとブルーハーブが鳴り続けるので、部屋に帰って
プレーヤーの電源を入れ、その続きをかけて昼飯を用意した。

めしを食って落ち着いた俺は、昨日プリントしてきた写真を整理した。
過ぎて行った時間を、ただ思い返したいが為に日々のブロマイドを貯め込んでいる俺だった。
第82話
「出張前夜」

2007年6月1日(金)
PM1:00 いつものパターンで帰宅。
襟首の汚れが夏モードになってきた制服を洗濯しながら、昼飯を用意する。
一気に食い終え、ザ・ワイド見ながらほうじ茶をすすり、わんぼる君が干して行った洗濯物を取り込む。

洗い終わった制服を干す前に、明日からの留守に備えてベランダの植木に給水器をセットしたのだが、
真ん中のプランターの土だけが、2週間前にさしこんだ給水器のくぼみが消えている。
・・あいつらの仕業やな・・。

何と、このプランターには、カナブンか何かの幼虫が数匹生息しているのだ。
俺は、知っている・・。だって、早朝に水やる時、カブトの幼虫の孫みたいなのが地表に出て来とる時あるもん。
たぶん、昨年秋に卵を産んでいったんやと思う。昨年までおらんやったからね。
奴等は凄いよ〜!枯葉とか枝とか置いとったら無くなっとるからね。
おかげで土はフカフカや。
ちなみに家は、マンションの6階で、ベランダは植木鉢をのぞいてコンクリートである。
改めて、土の持つ可能性には驚かされるばかりだ。

奴等に刺さる事が無い様、慎重に給水器の先端をプランターに刺した。
ついでに、ベランダの掃き掃除までして、洗い終わった制服を干した。

部屋に入り、カーテン脇から、きれいになったベランダに水を備えた植木鉢が並ぶ様をみて
達成感を感じた。
コーヒーをいれ、またしてもブルーハーブをかけ、さっき取り込んだ洗濯物をたたんだ。

明日は、いよいよ展示最終日だ。最後までがんばろう。
第83話
「展示最終日報告」

2007年6月2日(土)
AM7:59 新大阪発のぞみ112号にわんぼる君と乗車。

AM11:30 2週間ぶりの中板橋 rojicafeに到着。
展示最終日にして始めて会場に来る事が出来ました。
開店準備中のスタッフの方々に挨拶をし、いざ2階へ。
改めて、お店自身が持つ柔らかい雰囲気と、窓から注ぐ豊かな光に感嘆し、
今回の反省点を胸に刻みながら、持参した28mmレンズで開店前の展示風景を撮影しました。

搬入時に置いて行った芳名帳をめくり、そこに記された暖かい記帳に励まされました。
さらに“ブログみて来ました”との記帳に驚きと感謝で胸いっぱいでした。
   
ランチタイムとなりrojicafeファンのお客様が思い思い食事を楽しまれる中、
GEISAIからHP上での告知を見て今回の展示へと足を運んで下さった方々の来場に、
驚きと喜びで戸惑い、上手く立ち回れたか自信がありませんが、とにかくもっと頑張らねば
という思いだけは確実に心の中に降り積もっていきました。

お客様の切れ間を見計らって、我々もrojicafeの食事を頂きました。
わんぼる君は、タイカレーのランチを、私は、銀ムツの照り焼きの定食を頼みました。
ご飯、主菜、副菜、汁の一つ一つどれもが丁寧に作られていておいしかったなぁ。
やはり、心を打つのは作り手の思いしかないなぁと改めて感じました。

明るい店内も徐々に西日から夕暮れとなり、中板橋の夜は静かに暮れていきました。
ベランダから見える路地のむこうの夕空が印象的でした。
閉店間際に、HPからのお客様がいらして下さり、僕は泣きそうでした。

PM10:00 最後のお客様をお見送りし、閉店となりました。
誰もいなくなって静かになった店内。

1階に降り、オーナー、スタッフの方と少しの間お話しました。
そして、私は次回もrojicafeさんで展示やらせて頂きたい旨を話し、
来年2月の予定を取り決め、名残惜しむ間も無く、様々な思いで充満した頭で
終電に慌てながら、わんぼる君と人形町のホテルへ向かいました。

明朝は搬出です。
第84話
「朝の隅田川 そして搬出。」

2007年6月3日(日)
AM5:30起床 シャワーを浴び、朝食前にわんぼる君と散歩に出た。
まだ朝刊の自転車がまわっている早朝の人形町。
ほとんど車のいない道路に朝の強い光のスジがまっすぐに伸びていた。
人形町通りに出て、水天宮〜TCATと歩き、隅田川大橋へあがった。
急に視界が開け、大きな川面に永代橋。その向こうにはリバーシティの高層マンション群が
朝の風に吹かれながら、シュピーンと立っていた。その水色の風景をしばし眺め、時計を見て
我々は、ホテルへ戻った。朝日が、ビルのガラスと道路に乱反射していた。

朝食を済ませ、チェックアウト。今朝は、三越前から地下鉄に乗った。
AM9:00 rojicafe オーナーのお二人にご挨拶し、昨日の感傷に浸る間もなく撤収開始。
絵を取り外し、次々とエアパッキンに包んでいく。最後にダンボールで梱包し、紐がけ。
行きの伝票をはがし、着払い伝票を記入、貼り付けて完了。
手荷物をまとめ、掃除をし、展示は無事終了した。
オーナーのお二人と2月の約束を交わし、我々は、中板橋にしばしの別れを告げた。

もう、特に行きたいところがなかったが、なぜか2人共、先日行った日暮里のラーメン屋に
行きたいとなり、池袋から日暮里下車。ラーメン食って、東京駅へ向かい,PM0:33のぞみに乗った。

車窓には、きれいに水の張った田が時速250kmで流れて行っており、隣には、エアー枕に首をもたげた
わんぼる君が寝息をたてていた。

僕は感謝の念で一杯でした。
第85話