「お墓参り」

2007年8月13日(月)
車の少ない静かな街を朝日だけが、いつも通り照らす中、営業所へ向かった。
街全体が静かなせいか、上空からは飛行機の音だけがいつも以上に響いて聞こえた。

営業所は、到着荷物の少なさから、みんなに温和な、お盆モードの空気が漂っており、
私は夏休みの登校日を思い出した。

AM11:00 割り当てられた配達も早々と終わってしまい、任務終了となった。
本来なら盆の間も出勤だったのだが、配達件数の少なさから、
急遽、明日、明後日と暇を出された。

今日は、午後から、日帰りで京都のわんぼる君の実家に行く予定だったが、
急に休みを貰ったので泊まりがけに変更し、帰宅後、諸準備をして出掛けた。

まずは京橋まで出て、蕎麦屋で昼飯食って、京阪に乗り、
わんぼる君の実家のお墓参りに向かった。

伏見の駅に着き、疎水を渡り、まずは商店街の花屋で線香を買った。
みずみずしい八百屋の軒先の茄子や西瓜を眺めながらお寺への道を歩いた。

無事、お墓参りを終え、商店街の喫茶店でアイスコーヒーを飲んで一休みした。
時計を見ると、まだ3時だったので、すぐ近くの深草にある石峰寺に行ってみる事にした。
(石峰寺は、若冲居士のお墓があり、その裏山には、
氏が下絵を描いて作らせた五百羅漢が安置されているお寺です)

午後の暑い日差しの中、日陰を探しながら坂を上ると、かわいらしい赤門が見えた。
拝観手続きをすると、お寺の方が、裏山は蚊が多いとの事で、
虫避けスプレーと、蚊を追い払う為のうちわを貸してくれた。

まずは、若冲居士のお墓に手を合わせた。お墓のまわりには、トンボや蝉がいて、
さすが若冲居士であった。

裏山へ向かうと、再び、先程より一回り小さい赤門が迎えてくれました。

門をくぐり、竹林に足を踏み入れると釈迦誕生から涅槃に至るまでと
お弟子さん達のドラマが石仏で再現されており、時折降り注ぐ木漏れ日が、
若冲居士の愛らしい筆致を彷彿させる石仏達を照らしていた。
裏山から出て来ると、伏見の町が一望でき、
真っ青な空には、銀色の雲がシュッと光っていた。

PM5:00 わんぼる君のご実家に無事到着。
皆で楽しくご飯を頂きました。
第155話
不定期連載
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「京都の思い出」

2007年8月14日(火)
今朝は、午前5時過ぎに起き、(わんぼる君のご両親は、早起きです)
身支度をし、お母さんが作って下さった、味噌汁・ご飯・卵焼きを頂きました。
久々のごはん食で腹に力が入りました。
6時30分 感謝と切なさで胸いっぱいになりながら、手を振ってご実家を出ました。

本日は私が、急に休みになったので、あのマーク・ロスコの抽象画みたいな土壁が
観たいと思い、竜安寺に向かいました。
(竜安寺は朝8時から開いている)

我々は、わんぼる君のお父さんが、今朝、知らない内に駅まで行って買って
来て下さっていた切符を渡され、感謝と切なさを噛み締めながら
朝日が差し込む電車に揺られ、京都駅まで出ました。

JR山陰線に乗り換え、花園駅下車。
歩いて妙心寺を抜け、竜安寺道を上って行きました。
ところどころ萩が生えた山門をくぐり、
樹々の間から覗く蓮池の白やピンクの花びらに胸踊らせて方丈を目指しました。

真夏の石庭は、朝とは言え、全てが乾き切っていました。
本日の土壁は、私が期待していたロスコ状態ではありませんでした。
以前、来た時が雨だったので、その時の印象が強かったんだと思いました。
でも、じっーと座っていると、石〜壁〜砂利〜苔〜屋根〜影〜光〜石〜‥
と観つづけてしまいます。
なんか分からんが飽きません。
観れば観るほど変な石です。キリが無いので又、来ようと思いました。
乾いた石庭も魅力的でした。

帰り道に観た蓮池には、青空と沸き上がる雲が映り込んでいました。
わんぼる君はモネや!モネ!と言って喜んでいました。
水面を鴨が、のほほんと泳いでいました。

竜安寺を出た我々は、とりあえず、京福電鉄の駅まで降り、路線図を見て、
太秦の広隆寺に行ってみることにしました。
まずは、太秦の駅近くの喫茶店で、ナニワ金融道を読みながらコーヒー飲んで
一休みしてから山門をくぐった。

弥勒菩薩を鑑賞し、霊宝殿を出ると、蓮の花が光に透けていた。

市バスで、四条河原町まで出て、寺町をうろつき、
昼飯は、“はやしや”で青々とした夏の東山に映る雲の
大きな影を観ながら、シャレの効いたチャーハン(茶飯)を食べました。
(わんぼる君は茶蕎麦を食べていた)

時計を見ると、まだ12時過ぎだった。
本屋で情報誌を見ると京都国立博物館で、“大覚時の名宝展”をやっていて、
狩野山楽の牡丹図が出ているとの事なので喜んで行ってみた。

山楽氏の絵は、やはり良かった。牡丹の花も葉もみずみずしくて、
離れて観ると金地に構図が決まっていて、図版で観るより、意外にも空間を感じました。
満足だった。
隣の展示室に入ると、大覚寺展のはずなのに何と、長谷川等伯の波濤図が出ていた。
解説から察するに、学芸員の方の等伯氏と狩野派の間にあるドラマへの思い入れからの
展示構成の様だった。
等伯氏の筆致は、氏の個人的な思いなのか、キュンとくるなぁ・・。

良い思い出を胸に、我々は京都を後にした。

PM3:00 無事帰り着き、洗濯機回し、わんぼる君のご実家にお礼の電話をした。
第156話