「いざ園城寺へ」

2007年8月25日(土) 本日は、わんぼる君共に休みで、7時過ぎに起き、
大阪の街を走り抜けて行くマラソンの中継を楽しみながら、朝飯を食った。
片付けを済まし、AM9時過ぎ、部屋を出た。

今日は、先日、拝観許可を頂いた滋賀県大津市の三井寺こと園城寺へ行くのだ。
まずは、JR大阪駅まで出て、東海道線の新快速に乗った。
せっかくなので山科で、京津線に乗り換え、2両編成の路面電車に揺られ、三井寺で降りた。
降車時、切符をホームで駅員さんが回収してまわるのには、のんびりとした旅情を感じた。
琵琶湖疎水沿いの道を、お寺へと向かい、AM11:30 園城寺到着。

勧学院の拝観は、PM1時からだったので、山門脇のお土産屋の食堂で、早めの昼食にした。
品書きを眺め、我々は湖国の個性が感じられた鰻丼に決意を固めた。

ガラス越しに見える、微かに塗料が残った山門(1452年建立との事)のただならぬ雰囲気に、
気持ちを高ぶらせながら、琵琶湖産だという鰻を食らった。ビールと行きたい所だったが、
これから目にする光信氏の障壁画の事を考えるとそんな真似は出来なかった。
久々の高カロリー食で、脂っぽくなってしまった我々は、単品で抹茶を頂き、
その効能を実感しながら、山門へと向かった。

まずは、金堂を参拝した。改修工事中ではあったが、堂内に入る事は出来て、
思いの外、円空仏に出会えた。やはり良くて、その絵ハガキを購入し、
思い出のしるしとし、いざ勧学院を目指した。

PM1時前、ご住職の点呼を受けて、客殿へと入った。
電気の明かりが消された堂内は、真夏の昼間とは言え、薄暗かった。
まずは、水墨画による襖に囲まれた部屋に通された。
その、時代を経てきた雰囲気に、先程までいた外界から、
一気にテンションが変わって行くのを感じながら、更に奥の間へと通された。

そこは、さらに深く、美しい空間だった。
庇と縁台を通じて入って来る自然光によって浮かび上がる金地の障壁画は、
図版や予想していたものとは全く別のものだった。
ご住職のお話を聴きながらも、大陽と雲の関係によって絶えず移り変わって行く
客殿の中に身を置く我々は、その強弱に呼応して動かされていく気持ちを楽しんだ。

光信氏の描いた、やさしく情感あふれる四季の風景は、庭の水音や蝉の声と相まって、
本当に贅沢で特別な空間体験だった。

この後、光浄院を見学し、少し離れた北院の法明院に、
日本美術の救世主であるフェノロサ氏のお墓があるというのでお参りして
我々は大津を後にし、三条をふらつき、大阪へと帰った。

昼間、ずっと聞こえていたヒグラシの鳴き声が、印象的な一日でした。
400年の時を経てもなお、こうして出会う事が出来る美に心からの感謝で一杯です。

第167話
不定期連載
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「街はざわめいて」

2007年8月26日(日)
AM5:40 若干の涼しさを感じるようになった朝の中之島を、ビル清掃現場の
北浜に向かってチャリを漕いでいると、アスリートと思われる、ランニング
スタイルの黒人の姿を見かけた。
そうか!世界陸上か! リーガ・ロイヤルホテルに泊まっとるんやなっ!
とシマウマに出会った様な高揚感を感じながら漕ぎ進み、淀屋橋まで来ると、
またジョギング・スタイルのアスリート風外国人カップルと遭遇した。
早朝で、他に誰もいなかったので、私は、「ガンバってください!!」と日本語で声を
掛けると、笑って、外国語で「#”*〜・・!!」とこたえてくれた。

ビルの控え室に着くと机の上に、昨日のマラソンの応援の旗が置いてあった。
日常清掃のオバちゃんが応援に行ったんだろう。
土佐堀通りで旗を振るオバちゃんの姿が目に浮かんだ。

PM2:30 無事作業終了。今度は外国人記者や選手?とすれ違いながら帰路に就いた。
途中、わんぼる君に電話すると、買い物に出る前だと言うので、行きつけの喫茶店で
合流し、アイスコーヒーを飲んで休んだ。

店を出て、私は、昨日の園城寺の情報を補完したかったので、久しぶりに図書館
に行った。淡交社の古寺巡礼・近江編の棚をから三井寺を手に取りぱらぱらと
めくって、浮かび上がる思い出を再燃焼させ、ほくそ笑んで借りて帰った。
第168話
「8/27」

2007年8月27日(月)
運送業務を終え、営業所近くの定食屋で昼めし(ちくわの磯部揚げ・きゅうり酢・
納豆・ごはん大・味噌汁)を食って、北浜のガラス清掃現場へ向かった。

午後の強い日射しの中での外周のガラス清掃作業は、さすがに少々堪えた。
PM5:30 ひとまず、本日の予定分を終え、控え室を出た。
チャリンコ置き場の植え込みには、アベリアの小さな白い花が、ぽつりと咲いて
風に揺れていた。
私は、その姿を写真に収め、それを疲弊した心に添え、チャリの鍵を開けた。
今日の晩飯は、わんぼる君が昨日、ハヤシライスを作り置きしてくれたので
おひたし用にモロヘイヤだけ買って、家路に就いた。
第169話
「8/28」

2007年8月28日(火)
本日も、昨日に引き続き、運送屋〜ガラス清掃へと向かった。
無事、ガラスの透明度を引き出す事に成功し、疲労と達成感を抱きしめて帰路に就いた。

今日も、梅田の街は、外国人選手達が走りまわっており、私は、その間をすり抜けて
スーパーを目指した。
今日は、昨日のハヤシライスがまだあるので、明日のわんぼるランチのおかずと野菜を
買い、ついでに、ゆずが100円であったので、焼酎に搾ろうかと思い買って帰った。

帰宅して、作業着を洗濯し、シャワーを浴びてから、晩飯の準備をしていると、
わんぼる君が、秋に京都で開かれる“狩野永徳展”のB2サイズのポスターを抱えて
帰ってきた。
チケットと合わせて、職場でいただいたそうである。喜んで、広げると豪快な唐獅子が
現れて、疲れも吹き飛んだ。

テンションの上がった私は、その勢いで、モロヘイヤを煮えたぎる湯に通し、ザルに
あげ、豪快にうちわで扇いだ。
いつも以上に、真っ青な葉の緑が定着し、喜び倍増であった。
第170話