「六甲おろしに励まされ」

第207話
不定期連載
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2007年10月4日(木)
本日の運送業務は、他コースの応援が加わった為、通常の1.2倍の疲労を纏って
の帰宅となった。
自覚される各関節、脇腹〜首筋等のシェイプ感から、買い物に向けてのエネルギー
残量が危ぶまれた私は、営業所近くのパン屋で53円のロールパン1コと、
ディスカウントの自販機で80円の無糖のコーヒーを購入し、途中の公園のベンチで
合計133円の休息をとった。

公園のグランドでは、おっさんらに交じって、オフィス・レディが紅一点、
バドミントンに興じていた。
女性社員のフォームと撃ち込まれるシャトルのスピードを観ていて、
ありゃ、間違いなく経験者やな・・と思いながらまずいコーヒーをすすった。
スマッシュが決まらず、悔しがる姿がまぶしく見えた。

スーパーに向かうと、店内は、六甲おろしが高らかにかかっていて、リーグ優勝は
なくなったものの、やはり気分的には高揚した。
さすがに8年も大阪にいると歌詞も自然と口ずさんでしまう。
(阪神電車のホームに立った時も同様の気分に襲われる)

買い物を済ませ帰宅し、ベランダに出ると、萩が今年最後と思われる花盛りだった。
先ごろ咲いた方は、もう種がついている。
午後のすがすがしい風に揺れるその姿を写真に撮って、水をあげ、昼食の準備に入った。
「計画と現実」

第208話
2007年10月5日(金)
そもそも思い通りになど行く訳が無い運送業務に奔走し、買い物を済ませて
無事帰宅。

洗濯しながら、わんぼるランチを頂き、コーヒー飲んで、昨日から開始した
作品の制作に入った。
計画通りに描き進んで行ったが、画面の雲行きは怪しく、一通り手を入れ
終えても心に明るみは差さなかった。

このままではイカンと、とりあえず台所に赴き、気分転換と乾き待ちを兼ねて
晩飯の準備をした。
納豆をかき混ぜながら、壁に寄りかかって画面を眺め作戦を練った。
チンゲン菜のおひたしをやっていると、わんぼる君が帰って来たので
バトンタッチし、再び筆を執り、画面の改善に努めた。

PM8:30 構成の一部と配色を変え、何とか胸を撫で下ろし完成に至った。
道具を片付け、わんぼる君に焼いてもらったサンマを食った。

「北浜〜京町堀、そして中之島」

第209話
2007年10月6日(土)
AM11:40 北浜のビル清掃を終えた私は、京町堀のギャラリー・ゼロさんへと向かった。

何でも、わんぼる君が、ゼロの高森さんに、とある作品の額装を依頼していたらしく、
その引取りに向かうというので、私も行ってみようと西へ向かってチャリを漕いだのだ。

それは、わんぼる君が、ネットの海で出会ったアーティスト“きくちっく”さんの作品で
コミュニケーションの末、直筆の絵画を入手したらしいのだ。
(わんぼる君の影響で、私も画伯のネット連載“今日のわちち”の秘かなファンであります。)

PM0:20 高森さんが入れて下さった日本茶をいただきながら、わんぼる君が確認する
きくちっくさんの作品を私もチラ見させて頂きました。そこには、連載でおなじみの
キャラ達がかわいく並んでおり、私は、わんぼる君が少しうらやましかったです。

高森さんと三人で、なにわ筋を渡り、阿波座の洋食屋さんへ行きました。
サタデー・ランチと題された800円の定食(白身魚フライ・とんかつ・ハンバーグ・
スパゲッティ・マカロニサラダ・キャベツ・トマトにライス、スープ付き)を頂き
(私は、わんぼる君のライスも半分頂き満腹であった)、高森さんの案内で土佐堀通りの
現代建築を1件巡り、一旦ギャラリーに戻りました。

PM3:00 わんぼる君と私は、ギャラリーを後に、中之島の国立国際美術館の展示を観て
(“現代美術の皮膚”なる展示で、思っていたより楽しめました。私は、整形手術の
過程を作品とするオルラン氏と、わずか15cmほどのリアルで現代的な表情を浮かべた
フィギュア作品のイ・ドンウ氏の作品が印象的でした。)
西日が射し始めた街をすり抜け、マクドナルドで100円のアイスコーヒーで一休みし、
買い物して帰りました。今日もサンマです。
「国宝・ラーメンそして、ひこにゃん!」

第210話
2007年10月7日(日)
本日は、わんぼる君と共にお休みだったので、早起きして琵琶湖北部に浮かぶ
桃山珠玉の名宝がひそむ伝説の島“竹生島”へと向かった。

まずは、JR大阪駅から東海道線・新快速で彦根へ向かい、そこからバスで彦根港下車。
AM9:30 竹生島行きの初便、ニューわかあゆ号に無事、乗船した。

明るい朝の光が湖面を照らす中、2階デッキでスピーカーからの解説を楽しみながら
40分間の船旅を楽しみ、序々に近づく島に思いを馳せた。

事前情報により覚悟はしていたのだが、近年のカワウの繁殖の糞害により島の樹木が
大幅に枯れているのが見え始めるとさすがに心に影が射したが、樹木の間に名刹の
構造物が確認出来始めると、やはり、グァッとテンションは上がった。

着岸体勢に入り、速度を落として旋回するわかあゆ号のデッキに立つ我々に、島はその
全貌を見せつけた。
切り出した岩肌、その上に展開する植生、湖面にせりだした岩の上の鳥居、そして、
その合間にあの太閤秀吉の伏見城の遺構ともいわれる宝厳寺の唐門が観えた時、
私の脳はこれから目の当たりにするであろう事実の興奮で爆発しそうだった。

島の桟橋に降り立ち眺める風景は、その宝物の凄さとは裏腹に参道は、みやげ屋が
並んでおり、寅さんに出会えそうな風情で我々を迎えてくれました。

入山料を支払い、石段を昇り、巨鯨の肋骨のような凄みの唐門にかぶりつきたい気持ちを
堪え、崖っぷちに建てられた回廊の足元に圧倒されながら弁才天を拝みました。
続いて、湖面にせりだして建てられた都久夫須麻神社を参拝し、その本殿へと向かいました。

拝観手続きをし、靴を脱いで本殿にあがると、みやる眼の先全てが事件でした。
高台寺蒔絵と同じノリの厨子を中心に、天井画〜襖絵は、何と永徳・光信によるものというでは
ないですか。(が、剥落が激しく、私には心に届くまでの確認が出来ませんでした・・。)
そして、今日の一番の目当てである壁面を飾る草花の透かし彫りと対峙しました。
あたたかい光に照らされた肉厚な草花のレリーフは、力強い魅力で、私はそれが醸す芳醇な空気に
心が満たされていく幸せを感じると同時に、それを放したくない気持ちにも襲われました。
立ち上がるのがさみしく思えましたが、これ以上眺めても女々しいだけなので、出会えた喜びを
噛み締め次へ向かいました。

回廊を抜け、唐門に出ると、着いた時は、あれだけ興奮していた装飾なのに、本殿を観た後では
何か物足りなく思え、自分の薄情さを感じました。

さらに石段を昇り、宝厳寺本堂〜宝物殿を拝観し、みやげ屋まで下り、並びの食堂で、ラーメン、
カレーライスを頼んで、缶ビール(黒ラベル)で乾杯しました。
(カレー、ラーメン、共に海の家みたいな味でうまかったです。ラーメンの赤いのぼりが湖面の
水色に映えて美しかった。)

今日は、3月に彦根に来た時に会えなかった彦根城築城400年記念キャラの“ひこにゃん”が、PM3:30に
彦根城の博物館前に現れるとの事だったので、PM0:15 我々は竹生島を後にしました。

目の前で会えた“ひこにゃん”・・。テレビやネットで見る以上に小さくて、すみずみまで感性が行き届
いた小さなしぐさや動きは、本当にかわいくて、詰め掛けた大勢のファンひとりひとりに応えて下さる姿に
もうキュンキュン来ました!
ありがとう竹生島! 彦根!そして、ひこにゃん!!
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