「年やわ・・。」

第217話
不定期連載
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2007年10月14日(日)
PM1:00 北浜のビル清掃を終えた私は、へろへろとチャリンコ漕いで、梅田方面へ向かった。
(途中、証券取引所の前で、何故かバトンの練習をしているミニ・スカート姿のギャル達に
遭遇し、私の心は華やいだ。・・そうか、今日は御堂筋パレードか・・と思い、
ライオン橋を渡っていると花火の音と共に、色とりどりの風船がビルの合間に一斉に
上がって行くのが見えた。)

ジュンク堂でわんぼる君と落ち合い、昼メシどこで食おうかと地下街を歩いた。
2ビルの地下まで来ていた我々は、立ち飲み屋に併設されたカウンターでランチサービスを
展開している店に入ってみた。
私はイワシフライ定食、わんぼる君は親子丼を頼んだ。

新阪急ビルの地下でコーヒー飲んで、スーパー寄って、小松菜・サンマ・すだちを買って
帰り、作業着を洗濯しながら玄米茶を飲んだ。

(昼のフライの衣が厚かったので胃がもたれてしまった・・。年やわ・・。)
2007年10月15日(月)
半袖の制服も、そろそろ終わりかなぁ・・と思われる今日この頃。
すっきりと晴れた北区の街を配達〜集金と回り、スーパー寄って帰宅。

久しぶりのわんぼるランチを頂き、味噌汁のダシまでとって作業に入った。

(一昨日、完成した作品を交え、今後の展開について一人で話し合った。
再度、同じ画題でもう一作描いて、今までの作品とのバランスをとる意見も
あったが、アイデアを出し合った結果、新作のテンションで、バランスをとり、
現在の主軸ラインを殺さずに全体を上げていく事で話はまとまった。
何点か出たアイデアの中から次回作を決定し、会議は終了。
私は、一人残ってサイズの割り出しまでやって、明日からの作業に備えた。)

PM7:30 おひたしの小松菜を洗い、コンロのグリルに水を入れた。
今日はアジの塩焼きである。
「定例会議」

第219話
2007年10月16日(火)
朝の冷え込みにより、起床に強い意志が要求され始めた今日この頃。
本日は、長袖の制服を着用して配達業務に臨んだ。
冷えた風にも対応できる喜びを感じつつ任務を終え、スーパー寄って無事帰宅。

わんぼるランチを頂き、100円で買ってきたツバスを煮て、コーヒー飲んで
パネル制作に入った。
ベニヤ板、角材の切断〜接着までやって、今日の作業は終了とした。

(本日、“地獄の盟友”である漆芸家の荒木光信氏から、お便りが届いた。
大学卒業後の真っ暗闇を、己の感性のみで照らしながら確実に歩み続ける
氏の生き方から研ぎ出された作品は、またしても私の心に静かに火を灯した。
私は、決意新たに、グッと心の中の何かを握り締め画室へと向かったのだった。)


*荒木氏による蒔絵作品を、小学館の“和楽11月号”に掲載されている
“ネスカフェ香味焙煎”の広告で観ることが出来ます*
「凄まじい時代・・」

第220話
「地獄からの便り」

第218話
2007年10月17日(水)
無事任務を終えた私は、駅前にチャリを駐め、電車に乗った。
梅田でわんぼる君と落ち合い、阪神B1で、立ち食いのカレー丼を食らい、
我々は“狩野永徳展”のチケットを握り締め、白昼のJR東海道線・新快速に
乗り込んだ。

PM2:30 京都国立博物館到着。
(博物館入口には、巨大な唐獅子図の看板が掲げられ、来場者の感情を煽っていた。)

思っていたより人出は少ない様で、すっきりと入場出来た喜びもつかの間、いきなり、
あの大徳寺聚光院の花鳥図襖がバチコーン!!と並んでいた。
方丈と違い、図版の様に横一列に並んだ襖に不思議な興奮を感じながら、次々と
現れる凄腕の大作に目が宙を泳ぐので、こりゃ、イカン‥!と、とりあえず、
バァーッと全ての展示室を観て全体の流れを把握する事にしたのだが、結局、
行く先々の事件に眼を奪われ続ける始末であった。
再度、順路を戻り、一点一点観て行った。

戦国時代を突っ走った怪物絵師の作品はその画像の圧倒的迫力に加え、合わせて展示
されていた自筆の書状や、信長公の肖像画などからは、当時の凄まじい政治的背景が
伺え、美術作品の枠に納まり切れない恐ろしさを感じた。
(そんな中で、洛中洛外図は、美しい色彩と巧みな画面構成で、意外にも優しく楽しい
印象を受けました。)

会場を後にした我々は、入り口横のキャフェ・テラスで呆然と休み、博物館裏手の
巨大な石垣沿いの道を歩いて豊国神社の唐門を観に行った。
暫し思いを馳せてから、鴨川まで下り、草花や、鳥たちを眺めながら四条まで歩いた。
夕暮れの川沿いを歩きながら、展示で観た、永徳によって描かれた、父・松栄の竹虎図の写し
の事を思った。そこには、父の原本には描かれていたタンポポとスミレが描かれてなかったのだが、
その意味が分かった様な気がした。
ため息と共に四条から阪急乗って帰った。
「一昨日のつづき」

第221話
2007年10月18日(木)
本日もすがすがしい天気となった北区の街を、配送業務に奔走。
高く澄み渡った秋空に、いくら心を解き放っても、昨日、狩野永徳展から受けた
“黒い何か”は薄まってはくれなかった。

諸任務を終え、帰宅し、わんぼるランチを頂いてから、まずは晩メシのイワシを煮た。
コーヒーを入れて、一昨日、接着までやって止まっていたパネルを仕上げた。

夕方、洗濯物を取り込み、哀愁を帯び始めた萩の姿を何枚か写真に撮ってから
キャンバス用の綿布のシワを取る為、物干しにかけた。

アイロンがけ〜ジェッソ塗りまで終え、おひたしの小松菜を洗った。
テレビをつけると明日は雨だと言っていた。