「一日雨」

第222話
不定期連載
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2007年10月19日(金)
結局、一日中雨となった本日の大阪地方。
無事に諸任務を終え、帰宅した私は、びしょ濡れの合羽をベランダに干し、
手足〜顔面を洗い流してから、わんぼるランチを頂いた。

今日も、先に晩のおかず(丸々一尾198円で買ってきた三重県産のサバの煮付け)
を作ってから、作業に入った。

昨日作ったキャンバスを裁断し、パネルに張ったのだが、本日は雨模様とあって、
あまり引っ張り過ぎると後日、バンバンに張れてしまってヤバイかもなぁ・・。と
思いながらも、その頃合に自信が持てないまま張り終えてしまった。

少し置いとこうと、立ち上がった私は、急に思い立ってトイレを掃除し、ついでに
部屋中掃除機をかけた。
コーヒーを入れて、暫し達成感に酔いしれてから、作業に戻り、一発目の下塗りをした。
乾燥したジェッソ面に、アクリル・エマルジョンが食らい付いていくのを確認して
本日は終了とし、道具を片付けた。

台所に立ち、濡れた路面をタイヤが水しぶきをあげて走って行く音を聞きながら、
おひたしの小松菜を洗った。
明日は、晴れるらしい。
2007年10月20日(土)
急な冷え込みとなった本日の大阪地方。
ベランダは、初冬を思わせる澄んだ空気に光がきらめいていて、寒いながらも、懐かしさと
嬉しさを感じてしまうのだった。

朝食〜掃除と済ませ、己の頭のモミアゲや後頭部の伸びが気になり始めていたので、思い立って
風呂場へ向かい散髪をした。これからの季節を考え、抑え気味の刈り込みでハサミを止めた。
(後頭部は、いつもながら、わんぼる君にお願いしました。)

風呂掃除まで終え、コーヒーを入れて一休みし、絵画制作へ入った。
(エスキース帳と、補助資料を広げスタートを切った。)

PM0:15 乾き待ちを兼ねて昼食。
(昨日のサバ煮の残りと、冷凍ご飯、味噌汁で十分な栄養を補給した。)

PM1:00 作業再開。窓に映っていた光の筋も消えてしまったが、作品への希望だけは消しては
ならんと筆をとった。

PM3:00 予定の工程を完了し、他作品との兼ね合いを確認し、もうひと押し手を入れ、完成とした。
(胸の内に、いつもの“これでいいんやろか・・”という不安が残ったが、己の計画を信じて
パネル裏面に日付を記入した。自分のジャッジメントこそがガラクタを作品へと押し上げるのだ
と言い聞かせ道具を片付けた。)

ため息と共に、部屋を片付け、わんぼる君と散歩に出た。夕方の光は、年の瀬を思わすタッチで
町を照らしていた。(高架下のミスドでアメリカン飲んで、TSUTAYAで立ち読みして帰った。)

今日は、我が運送屋の、副所長の転勤の送別会である。
いつも、配達から戻って疲れたオーラを纏った私に勘の良い冗談でやさしかった副所長。
本日の寒さと相まって寂しいので、俺はパンクをくちずさみ、引っ張り出してきたボロいニット
キャップをかぶって部屋を出た。
「街は冷え込み」

第223話
「冷え込み〜北浜、早まる夕暮れ」

第224話
2007年10月21日(日)
AM5:50 昨日の酒にえづきながら、新しくやって来た朝に、否応無く後方へ押しやられて行く時間の中を
チャリンコで漕ぎ進む私は、手袋をして来なかった事を悔やみつつ、北浜のビル清掃現場を目指した。

AM10:00 階段室床面の剥離洗浄を終え、次の現場へ移動しカーペット洗浄作業を開始。
途中、昼食(近所の店でタン麺)をはさみ、PM4:00 全工程無事終了。

陽が傾き、冷え込み始めた街に漕ぎ出した私は、ANDOさんの建築を一軒観に行った。
中には入れないので、外観だけでもと、しばらくの間凝視した。
その内部の壁面の奥に立った私が、大胆なガラス窓から入る光と対峙する姿を想像しながら、そこで受ける
空間体験を思い描いた。
私は、心の握りこぶしを確認し、再びペダルを踏み込んで帰路に就いた。

(夕暮れの2号線で阪神の新型車輌が走って行くのが見えた。うれしかった。)
2007年10月22日(月)
朝夕と、染み入る寒さが骨身に堪える今日この頃。
私のダブルステンレス・ボトルの中身も、昨日から水に替わって、白湯となり配達の合間の一息も
少し心強くなった。

今日は、運送業務を終えてから、北浜のガラス清掃へ向かった。(昼メシは、いつもの定食屋で、
野菜炒め・卵焼き・ご飯大・味噌汁を食った。脂分を上げて“冷え”に対抗する作戦に出た。)

中之島を通って現場へ向かったのだが、川べりは、午後の光で暖かく、昼食の栄養が血液に流れ込み
始めた私は、安堵感と眠気に包まれながら、へらへらとペダルを漕いだ。

本日も、外周のガラスを全て終わらせるつもりだったので、俺は、心して作業に掛かった。
秋の午後は予想以上に早く、秒速で西日へと移り変わって行く太陽に追い越されまいと、俺は、必死
で日常の塵芥にまみれたガラスから、透明度を掬い出し続けた。

PM4:00 どうにか西日と同着で、北面最後のコーナーに差し掛かった俺は、オレンジ色の光が、鋭角に
に投射されたガラス面に、大量の水を含ませたウォッシャーを思い切りかけた。
ガラス一面が、水滴で一斉に輝き、俺は一瞬あっけにとられたが、容赦無く、一気にそれらを一粒残らず掻きとった。
光の粒に代わって現れたクリアーな表面には、この道程を経てこその喜びがあったと思う。

PM4:30 チャリンコにまたがり、今日の仕事を眺めながらゆっくりと漕ぎ出していると、守衛のアンチャンが
中から手を振ってくれた。俺は、軽く会釈して返して、スーパーへと向かった。

帰宅し、イワシの煮付けの準備をして、ベランダの植木に水をあげた。
萩は、枯れ始めて辛そうだったが、その先端には、たくさんの種をつけていて哀しくは無さそうに見えた。
俺は、己を省みて、ため息をついてイワシを煮た。
「西日と競い合う」

第225話
2007年10月23日(火)
動けば暑く、止まると寒い気候に見舞われた本日の大阪地方。
昨日同様、運送業務〜定食屋(イカ天・なます・ごはん大・味噌汁)〜ガラス清掃、そしてスーパーと
任務を遂行し、PM5:30 無事帰宅。

思っていたより早く帰れたので、明日からの作業に備え、パネルだけでも作っておく事にした。
本日の晩飯は、昨日のイワシ煮の残りと冷凍ご飯で行くので楽である。
「諸任務」

第226話