「仕事納め」

第294話
不定期連載
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2007年12月30日(日)
冬型の気圧配置が強まった年の瀬の日本列島。今年最後のビル清掃となった本日は、四条畷の現場だった。
生駒山へと続く高台にあった本日の現場にも、気合いの入った寒気は流れ込んでいた。が、我々一同の間に流れる
仕事納めの空気のせいか、本日の寒さもプラスの力になっていた様に思う。

順調なペースで、午前中の作業は終わり、現場近くのうどん・そば系のドライブインで昼食となった。
お品書きを何度見返しても、全体的にエクスペンシブな価格設定が変わる事は無かった。私は、少し、いじけた気分で
定食がメインのお品書きの端に書かれた単品の丼物エリアから親子丼(750円)をリクエストした。
年の瀬の正午前の明るい光が射す窓際の席で暫く待っていると、思っていた以上にでかい鉢に入った親子丼が運ばれてきた。
お盆を受け取ると、丼の横に小うどんが付いていた。立ち昇る湯気が光を受け、その粒子を白く輝かせる中、うどんを
引き上げ、すすった。どうやら手打ちの様で、諦めと疑心に覆われて曇っていた私の心に四条畷の心意気が太鼓を打ち鳴らした。
(親子丼も鶏・卵・ご飯がひとつ上を行くスパーリングを繰り広げている様で、三つ葉のキュートな合いの手を交えながら、
あれよあれよという間に食い終えてしまった。)

おかげ様で、午後からも作業は順調に進み、PM4:30、無事全工程が終了した。若干、混んだ市内への道を道具満載のハイエース
に揺られながら事務所へと戻り、道具の片付けを終え、本年の清掃業務は無事終了となった。

帰り道、未だに年賀状を買っていなかった私は、中央郵便局に寄った。中央は、大勢のお客さんでごった返しており、
私は泣く泣く長蛇の列に加わり年賀状を入手した。
せっかく梅田に来たので、仕事納めの喜びから私は、わんぼる君に何か土産をと思い、地下に潜り、百貨店の
菓子コーナーをうろついた。結局、何度か買ったことのある和菓子屋で、抹茶の皮でつぶあんと苺をくるんだ菓子を購入し、
寒風吹きすさぶ暗闇の中、チャリンコのカゴに菓子の包みをのせて希望の灯りとし、鼻をすすりながらペダルを漕いで帰った。
「ゆく年くる年」

第295話
2007年12月31日(月)
おかげさまで正月休み初日となった本日。AM10:00 イカン!と起き上がり、昨日の作業着の洗濯を開始した。

今日も、外は予報どおりの冷え込みだった。すすぎまで終えて朝メシ食って、わんぼる君と分担し、家事
に勤しんだ。今年は大掃除もロクにしなかったので、掃除機を担当していた私は、せめてもと、換気扇フィルターを
交換し、洗面台の掃除までやって少しだけ気持ちを軽くした。なかなか洗う機会の無かった愛用のモンベルの雨具兼用
のウインドブレーカーを風呂場で洗い、とりあえず目標を達成した。

“がばいばあちゃん”見ながらコーヒー飲んで、昼食に出掛けた。わんぼる君は、鍋焼きうどんが食いたいとの事だった
ので、高架下のそば屋を目指した。冷え切った外の空気は、透き通った光と相まって、不思議と大晦日の雰囲気に
なっている様に感じられた。
そば屋は、年越しそばの準備で忙しいのか、我々が行ったのが遅かったのか準備中だった。仕方無いので、並びの
お好み焼き屋に入った。(モダン焼きとイカ玉を頼んだ。)
昼飯を食い終え、わんぼる君はスーパーへ、私は部屋に戻り、年賀状を書いた。

PM8:00 無事、書き終え、一番近くの夜間窓口がある郵便局に出しに行った。
何とか、年内に任務を終えた事にほっとしてチャリンコ漕いで帰った。
国道を流れる車や横断歩道を渡る人達には、早くも正月特有の雰囲気が覆い始めているように思えた。

無事帰宅して、わんぼる君作の水菜のおひたし、ホッケの開き、白菜・ニンジン・しめじの粕汁を頂いた。
今日は、“ガキの使いSP”を観て2008年を迎えようと思います。

今年一年、無事に過ごせた事を感謝すると共に、当コーナーを見て下さったみなさまに心より感謝申し上げます。
2008月1月1日(火)
AM7:30 布団から起き上がった私は、鉄のドアから朝刊を取り出し、トイレに向かった。新年を迎えた大阪の街は、
静かに冷え込んでいて、私は、その昨日までとはうって変わって落ち着いた空気の中で、ぱらぱらと新聞をめくり、
あらためて、年が明けた事を感じた。
居間のストーブを点けて、寝巻きを畳んでいると、わんぼる君が起きて来た。新年のあいさつを交わし、お互いの
今年一年の健康を願った。
(朝食の準備を進めながら、せめて、挨拶だけでもと実家の両親に電話し、お互いの無事を確認した。若干の切なさ
が滲んだが、おかげで、正月らしい朝にはなった。)

今朝の朝食は、さすがにパンでは味気ないという事で、雑煮でいく事にしていた。私は北九州(門司)出身で、
実家のは、おすましに、丸餅、かまぼこ、水菜だった。わんぼる君は京都で、白味噌に丸餅、里芋、金時にんじんである。
ここ大阪の内野ジゴクペイントでは、普段のダシにはいつも、いりこと昆布を使っており、おすましは、ほとんど作った
事がないので、九州版の雑煮を作る自信は無かった。それで昨日、相談した結果、現在地が関西であるので、わんぼる
バージョンの白味噌で行く事になったのである。

が、近所のスーパーには、京都にあるような白味噌が置いてなく、悩んだ挙句、一番白く見えた“タケヤみそ 塩ひかえめ”
なるものを買ってきた。
(普段の味噌汁には価格と原材料のバランスから“マルサン純正こうじみそ”なるものを使っている。これは、結構、発酵
の進んだ赤みがあるタイプの味噌なので、京風雑煮には使えそうになかったのだ・・。)
こうして、買ってきた“タケヤみそ”だったが、わんぼる君的には、麹の甘さが足りないとの事で、氏のアイデア
により、年末の粕汁に使っていた酒粕を混ぜた白味噌風雑煮が完成となったのだった。

これに、ジャスコで買ってきた、ふじっ子の黒豆を添えて、いつもの純米酒(掛かりつけの神社が無い我々にはお屠蘇が
手に入らんやった・・。)で元旦のブレイクファストとなりました。


このあと、簡単に部屋の掃除をして、わんぼる君とチャリンコ漕いで、近所の神社を巡りました。
元日の地元の町は、人も車もすっからかんで、小さな神社の境内は、古い大樹と昼前の穏やかな光が美しく、
まばらな初詣客の中で打つ柏手は、なかなかの清々しさでした。
行く先々の神社でお神酒や甘酒の奉仕を頂きながら、三社参りを終えました。

昼メシは営業中だった高架下の“びっくりラーメン”で味噌ラーメンとおにぎりを食って帰った。
今晩は、昨日買っておいたカブでおひたしと、冷凍の鮭の切り身で行こうと思う。
「新春のよろこび」
第296話
新年、明けましておめでとうございます。本日も、当コーナーをご高覧いただきまして誠にありがとうございます。
全く、顔の見えない謎の当コーナーではありますが、皆様の健康を心より願いながら、今年も続けて行こうと思って
いる次第であります。恥知らずな駄文・拙文が連なり、大変恐縮ではありますが、本年もどうかよろしくお願いします。
2008年1月2日(月)
今朝は少し早めに起きて、昨年末から中断していた図画工作作品の“描き初め”に取り組んだ。
無事、目標地点まで手を入れ、ブランクを埋めて、筆を洗った。

起きて来た、わんぼる君と共に、箱根駅伝を見ながら朝食(今朝は通常通りのパン)を食って、年末に用意して
いたプレゼントを引っさげて、京都のわんぼる君のご実家へ向かった。

昼前に無事到着し、新春のご挨拶を交わし、わたし的に渡すのが楽しみだったプレゼントを差し出した。
(お父さんには、釣り用に、ニットキャップと手袋を、お母さんにはポシェットをプレゼントした。無事、
喜んで頂けた様だったので一安心だった。)
そして、密かに楽しみにしていた本家・白味噌のお雑煮を頂き、体内からわんぼる君のご実家とシンクロした私は、
晩までの腹ごなしも兼ねて、わんぼる君と連れ立って、バスで20分程のところにある宇治上神社〜平等院鳳凰堂
へと出掛けてみた。

改めて観る宇治上神社、山を背景にした横長のヘコッとした屋根は、他には無い美しさで、今まで俺は、何も
観ていなかった事を知りました。
平等院も、細く複雑な構成が、宙に持ち上げられた両翼と合わさってバッシーンと目に飛び込んで来る快感は
かなりのもので、どの角度から観ても突き刺さってくる刺激は、さすがでした。

宇治川ツアーを終えた我々は、駅近くのスーパーでお母さんと落ち合い、晩の鍋の食材を買い求めて帰りました。
時折、雪がちらつき、足元からジンジン冷えて来る中を軽い足取りで歩くわんぼる母さんの姿が印象的だった。

みんなで楽しく鍋を囲み、お茶を飲んで、ギャル曽根見ながら、帰りまでの切なさが混ざり始めた時間を過ごした。

PM8:00 感謝とお互いの無事と健康を願いながらご実家を出て、現実の待つ大阪へ向かって帰りました。
「わんぼる君のご実家へ」

第297話