「日常への復帰」

第345話
不定期連載
BACK NUMBER
TOPへ
GALLERY
2008年2月19日(火)
冷たい空気と温かい光が入り乱れた本日の大阪地方。思い出で膨張した脳に喝を入れるには最適な、普段来ない様な
時間指定配達の乱れ太鼓で始まった日常への復帰、一日目でした。

無事、任務を終え、スーパーへ向かった。昼下がりの、わが町・大阪は、関西特有の黄色味を帯びた穏やかな光で、
私は、その色合いでようやく自分のペースを取り戻せた気がした。

帰宅し、今日はわんぼるランチはお休みだったので、大根・豚肉・キャベツ・餅・大根葉を入れた味噌汁を作って、
冷凍ご飯をチンして、かっ食らった。ほうじ茶飲んで、晩の味噌汁の下準備をして、展示終了に伴う諸作業の一環に
着手しながら、昨日、中板橋から発送した作品の到着を待った。

PM4:00 平和な面持ちで無事帰着した作品を受け取り、とりあえず一安心し、先程の作業の続きをやった。

PM6:50 ジャンパー着て、部屋を出て作業を完了させ、帰宅した。
レッドツェッペリンとTVを同時にかけて、気合いと新鮮さで部屋の空気をかき混ぜながら、炊飯を開始し、おひたしの
小松菜を洗った。今日は、299円で買ってきた平アジの刺身である。
2008年2月20日(水)
穏やかな光の中、冷たい風が吹いた北区の街を、配達〜集金と奔走。無事、任務を終え、スーパー寄って帰宅。

久方ぶりのわんぼるランチを頂き、ほうじ茶飲んで、晩の味噌汁の下準備〜イワシの煮付けまで完了させた。

一段落ついた喜びをコーヒーで祝い、エレカシかけて、昨日戻ってきた作品の開梱〜片付け、そして新たに
旅立って行く作品の梱包に着手した。段ボールシートと闘う夕方の部屋に浩次の乾いた声が響き渡り、俺の
しょうもない感傷を吹き飛ばしてくれた。

PM6:30 ピンポンが鳴り、玄関に出て行くと、宅配便で、なんと、中板橋のジゴクの兄貴からだった。
ハードなグレーのビニールテープで封がなされた小包を受け取り、なんか、ヤバイブツでも送って来たんか?と
思いながら、テープを剥がすと、そこには、あの晩、みなで食べた“はす芋”が並んでいた。傍らには、兄貴の
語り口の様な文字で書かれた手紙が添えられており、展示終了後の兄貴の思いが綴られていた。

俺は、加速した感傷を力に変えるべく、アンプリファーのボリュームを上げ、立ち上がり作業部屋へと向かった。
「明日に向かって走れ」

第346話
2008年2月21日(木)
だいぶ温かくなった本日の大阪地方。(それに伴う花粉症〜アトピー性皮膚炎の盛り上がりは春の恒例行事なので、
悲しいけど過ぎるのを待つだけです。) 配達〜集荷、そして集金と東奔西走し、任務を終え、スーパー寄って帰宅。

わんぼるランチを頂き、晩の味噌汁の下準備まで完了させてから、布ガムテープを持ち出し、道中の安全を祈りつつ
本日旅立つ作品の最後の封をした。PPバンドで紐掛けした荷物を抱え、最寄りの我が運送会社の営業所まで向かった。

無事、発送を終え帰宅。研いでおいた米を釜にセットし、おひたしの小松菜を洗った。本日は福岡産(俺と一緒やん!)
の丸アジの刺身です。

追伸:昨日、頂いた“はす芋”は、昨晩〜今日のわんぼるランチをもって完食となりました。いずれもおひたしにして、
甘酢かけて食べました。薄みどりのきれいな色彩としゃきしゃきとした爽やかな食感に春を感じました。
「旅立ちの季節」
第347話
2008年2月22日(金)
本日も温かくなった北区の街を時間指定配達に追われながら東奔西走した。気候の変動に伴い、諸アレルギーが活発化
していたが、これについていちいち言及するのはやめたいです。

無事、全ての任務を終了し、スーパー寄って帰宅。わんぼるランチを頂き、晩の味噌汁の下準備〜サバの煮付けまで作り、
帰りがけに受け取って来た先日の写真を並べ、当HPの掲載用に展示会場の風景を繋ぎ合わせて行った。
私は、あの日の空間の記録を眺めながら、rojiさんで必ずまた展示をやらせて頂きたいと思った。その為には、一旦、
己に磨きをかけて来るべきだと思った。受け取ってきた写真の終盤には、あの曙橋の凄腕ペインターと並んで写った写真が、
ピッと存在していて、それが俺に何かを投げつけて来るのだった。

今晩は、ビル清掃で心斎橋の現場が夜間剥離作業となっているので少し寝た。
PM6:30 ピコピコタイマーを止め、立ち上がった俺は、ヤカンの湯冷ましを飲み、ブルーハーブかけて小松菜を洗った。
「2/22」
第348話
「2/23」
第349話
2008年2月23日(土)
AM5:30 昨夜からの剥離洗浄作業を無事終了し、心斎橋の現場を出た私は、冷たい外気を吸い込み、夜明け前の街に肺に残った
ハクリ剤のにおいを吐き出した。週末明けの暗がりの中、帰路に就き始めた若者達がへろへろと歩く西心斎橋を掻い潜り、
ペダルを漕いで帰った。

AM6:00 帰宅して、ベランダのカゴに服を放り出していると、本日出勤のわんぼる君が起きて来た。「ごはんは?」と聞かれ、
空腹ではあったが、何となくやめとこうと思い、風呂に入って寝た。

AM10:00 カーテン越しのうす黄色の光で目を覚ました。洗濯機を回しながら朝食を摂り、ここのところ散らかって行く一方
だった作業部屋を掃除した。

PM2:00 図書館に向かい、借りていた本の返却と、取り寄せの受け取りを済ませ、近所のモスバーガーに行った。
私は、ここのJR環状線が見える大きな窓の2階席が好きなのですが、今日はあいにく、カップルや高校生で混み合っていた。
一瞬他所に行こうかと思いましたが、他に食いたい物も思いつかず、野菜サウザンバーガーのオニポテセットでホットウーロン茶
を頼み、空いていた1階席に腰掛け、開閉する入り口ドアの冷気に耐えながら温かいウーロン茶を飲んだ。

腹が落ち着いたところで、冷たく強い風が吹く中、今食ったものが胃にやさしいことを祈りながらスーパーへ向かった。

まずは鮮魚コーナーを一通り眺め、2匹398円の福岡産・丸アジが無難かなぁと手を伸ばすと、その脇に隠れる様に、えらく瞳が
可愛い少し小さなアジが、1匹ずつトレーに乗っていた。見ると、頭の付け根に包丁が入れられた活け〆だった。
価格は、398円と、その大きさからすると高価でしたが、その愛らしく澄んだ瞳と、すっと金色が入ったお腹、乾く前の墨の
様な艶やかな背中から放たれる魅力は、他の生命を奪っているという事実を伴いながら、私に小さな恋の様な感情を呼び起こし
ました。

私は、その姿を何か記録に残したいと思いましたが、道具もテクも持たない私が、このままの姿で持ち帰るより、信頼する
板さんに皮引きまでして頂いた方がこのアジくんも喜ぶだろうと思い、その輝きは胸に刻みました。

おひたし用に葉付きのカブと、朝食用のりんごをカゴに入れ、板さんからアジを受け取りました。
アジくんは三枚卸しになってしまっても、その魅力は全くおとろえることなく、秀逸な透明感で存在していて、私は彼を
大事にレジへと運び、支払いをして帰りました。

マンションに帰り着くと、郵便受けにわんぼる君のお母さんから、僕宛に小さな包みが届いていました。
何やろう・・と思い、部屋に帰り、開けてみると、お母さんが煮た昆布がビニールに包まれてポチョッと入っていました。

電話すると、何でも、うまく出来たので送って下さったとの事で、京都も今日はすごく冷えているとの事でした。
「風邪引かんようにな」とのあたたかい言葉に、只々、感謝する事しか出来ない私でした。