「グッドモーニング オオサカ」

第355話
不定期連載
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2008年2月29日(金)
早くも二月末日となった本日。エリアに満遍なく散りばめられた集金・配達に引き裂かれそうな体に、くだらん情報で
一杯一杯の俺の脳ミソが必死に指示を出した朝だった。
地下鉄出口から吐き出される出勤の人々の群れを、俺は珍妙なステップですり抜け、時間指定配達に奔走した。その動きは、
ひとつのアートと呼べるような域に達していたと思うよ・・。

さて、そんな妄想過剰気味な文章はこれぐらいとして、終わりが見えない業務もいつしか終了し、私はへろへろと帰路に就いた。
疲労と空腹で、眼球の落ち窪みを感じた私は、スーパー近くの商店街で蒸しパンと、自販機で“今なら100円”の無糖の
ジョージアを購入し、公園のベンチに腰掛け一休みした。

昼下がりのあたたかい日差しに包まれながら、ボケーっと公園の楠を眺めていると、意外と大きい事に気が付いた。
空は、いつになく青く広かった。

血糖値を上げ、元気が出た私は、買い物を済ませ帰宅した。帰るやいなや、アンプリファーの電源を入れ、ここのところずっと
頭の中で鳴り続けている“LEO今井”氏のCD(どの曲も素晴らしいですが、7曲目のZAZENの向井氏参加の曲もかなり楽しめます。
私は、2曲目の“東京電燈其二”がフェイバリットです。)を大音量でかけ、そのサウンドの後押しのもと、キャベツの味噌汁を
作り、わんぼるランチを頂きました。

明日から、わんぼる君は、恒例の北海道出張とのことなので、本日の晩飯は、寒冷地に備え、アラスカ産のカラスカレイの煮付け
にしようと思います。極北の海で蓄えられたコラーゲンが、わんぼる君を冷えから守ってくれると思うよ!
「トランプルド・アンダー・フット」

第356話
2008年3月1日(土)
AM5:25 ビル清掃の為、本日、北海道出張のわんぼる君に見送られる形で、北浜の現場へと向かった朝だった。

PM1:00 無事、階段室床面〜社員食堂のPタイル洗浄まで終了した私は、へろへろとチャリンコ漕いで現場を後にした。

帰り道、“日替わり定食”のノボリが立った今橋の喫茶店で、かつ煮定食・600円を食らった。無事、食い終えた私は、疲れて
はいたが、すぐに帰りたくもなかったので、ジュンク堂〜駅前ビルをふらついた。1ビルの中古レコード屋をのぞいていると、
新品同様のレッドツェッペリンのフィジカル・グラフィティのCDが1800円で売られていた。(これは2枚組みのアルバムなので
通常なら2700円ぐらいです。) 我が家にツェッペリンは、デジタルリマスターのベストしか無く、それを、本日、わんぼる君が
出張に持って行ってしまったので、しばらくは聴けません。

しかし、聴けないとなると、“トランプルド・アンダー・フット”のあの独特なリズムと閃光の様なギターが頭の中で鳴り始め、
一旦は店を出たものの、結局、戻って買ってしまった。

購入に至り、更に勢いを増した頭の中のサウンドに助けられながら、晩の買い物を済まして帰宅。即座にアンプリファーの
電源を入れ、買ってきたばかりの銀盤をプレーヤーに乗せた。ヴォリュームを上げると、スピーカーの中から、ツェッペリンの
4人が、ふがいない俺の日常を力強く後押ししてくれた。俺は立ち上がりベランダに向かい、ドボドボと洗濯機に水を溜めて
作業着を洗った。そして、室外機の上に置いた段ボール箱の中から、ジャガイモを1コ手に取り、部屋に戻った。
今日は、ジャガイモ・キャベツの味噌汁にサワラの切り身とカブを入れようと思う。
「3/2」

第357話
2008年3月2日(日)
昨晩は、わんぼる君が、先日、神戸の中華街で買って来てくれた、くりっとした目が可愛い“悪い夢を食べてくれるトラ”の
ぬいぐるみとアルバムを枕元に並べ、記憶と感情をたどりながらエスキースをした。夜更けだったので音楽はかけてなかった
のだが、頭の中では、何故かLEO今井氏の音楽がずっと鳴っていて、私は、学生時代に住んでいた門前仲町のアパートの部屋を
思い出した。孤独感とコミュニケーションの希求というか、性と死というか、そんな気分に覆われた、ハッピー・サッドな夜
だった。

AM8:35 襖からもれる薄い光で目を覚ました。しばらく悩んだが起き上がり、洗濯と風呂そうじまでやって、増刊号見ながら
朝メシを食った。寝室〜台所とそうじ機をかけて、コーヒー飲みながら昨日洗った作業着を畳んだ。

昼飯は、環状線を越えたところのラーメン屋に行こうかなぁ・・と思っている。
「3/3」

第358話
2008年3月3日(月)
黄砂まじりの雨で始まった週明け月曜の大阪地方。有り難くも、配達中に大して降る事はなかった。
(偏西風が運んできた化学物質のせいか、ノドに痛みを感じたが、半ば覚悟と諦めをもって北区の街を奔走した私でした。)

無事、任務を終え、営業所近くの定食屋で、イカ天・マカロニサラダ・ごはん(大)・豚汁をかっ食らい、スーパーへ向かった。
野菜〜鮮魚コーナーと見て回ったが、一人分の食事だとやる気も湧かず、3日連続ではあるが、味噌汁に魚を投入した主菜と
汁が同時に摂れる理想的なスピード料理を作る事にし、150円の平子イワシを買った。(安くて、小さなイワシだったので、
わざわざ板さんに頼むのも気が引けたので、内臓は家で取る事にした。)

帰宅し、着替えていると、急にチャリンコ用のフリース地の手袋が汚く思えたので、風呂場で洗面器にお湯を溜め、洗剤を
溶かして洗った。まっくろな汚水を換えながら冬の終わりを感じた。

味噌汁の下準備までやって、コーヒーを入れ、先日の展示に出品した作品のデータを、ファイル作成に向けて打ち込んだ。

PM8:35 “鶴瓶の家族に乾杯”を見ながら、スピード料理を食い終え、長渕 剛を聴きながら茶碗を洗っていると、わんぼる君から
無事、伊丹に着いたとの連絡が入った。
明日も頑張ろうと思いながら、ほうじ茶を入れた。
「ビート・イット」

第359話
2008年3月4日(火)
本日、大阪地方は久しぶりの冷え込みとなったが、明るい日差しのおかげで、頬に当たる冷たい空気は心地良く感じられた。

諸任務を終え帰路に就きながら、そんなナルシスティックな近頃の自分にいい加減嫌気が差して来た俺は、郵便受けに放り込まれた
くだらんチラシをグシャグシャと丸め、鍵を取り出し鉄の扉を開けた。
まずは、アンプリファーの電源を入れ、マイケル・ジャクソンのビート・イットをかけた。感傷を誘い兼ねないカーテン越しの
午後の濃い目の光が滞った部屋に、暗く強いビートが鳴り響いた。俺は、心に復活の炎が灯ったのを確認すると、買ってきたアジを
冷蔵庫に仕舞い、大根・手羽中・キャベツの味噌汁を作り、テレビのチャンネルを変え続けながらカッ食らった。

PM7:30 エスキースの諸道具を片付け、曇り空を吹き飛ばしてくれる様なシンセサイザーサウンドを大音量でかけ、おひたしの
小松菜を洗った。本日から通常モードの晩飯調理の再開であります!