「今日のわたし」

第406話
不定期連載
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2008年4月20日(日)
AM5:30 部屋を出た私は、本日一発目となる淀屋橋の現場へ向かった。実のところ、今日は中板橋の兄貴から、大変有難い事に
企画展示の展示会場での説明会の案内を受けていたのですが、私、悲しくも、旅費と時間を捻出する事が出来ませんでした。
(展示にはノリノリで出品させていただきますよ!!!!!!!)
こんな三十代半ばのどうしようもないオッサンに温かい声を掛けて下さる兄貴と、仕事を与えて下さるビル清掃の方々に、感謝
するばかりでした。

PM1:00 二発目の現場である江坂のPタイル洗浄を終え帰路に就いた。わんぼる君に電話すると、まだメシは食ってないとのこと
だったので、地元の一つ手前の駅で待ち合わせ、少しだけよそ行きの気分で商店街をうろついた。
が、リアルな商店が続くわがホームタウンは、日曜日とあってほとんどの店が休みだった。我々は、そんな中、営業していた
高架下のお好み焼き屋に入り、端麗(生)と焼きそば、お好み焼きを、半分ずつ分けて食った。(とてもおいしくて、おかげさまで
私の一週間も浮かばれました・・。)

買い物に向かうわんぼる君と別れ、部屋に帰り、少年ナイフをかけて作業着を洗濯した。
スピーカーから響く爽やかな歌声に励まされながら、上手くいかない絵を眺め、黄色い筆洗バケツに水を汲んだ。
2008年4月21日(月)
なかなかの好天で始まった週明け月曜の大阪地方。朝から明るい光が差すのは本当に久しぶりで、それに透ける街路樹の若葉と
路上に伸びるくっきりとした影の輪郭に、私は梅雨明けを迎えたような様な喜びで配達業務に勤しんだ。

無事、任務を終え、営業所近くの定食屋で、白身魚フライ・ポテトサラダ・わかめ酢・ごはん(大)・味噌汁をかっ食らった。
今日は、午後から北浜のガラス清掃となっており、加えて夕方からは別件の応援が入っていたので、買い物を先に済ませ、部屋に
食材を置いてから北浜へ向かった。(有難い事に、昨日、わんぼる君が今晩用のカレーを作ってくれていたので、野菜を買うだけで
済んだ。・・感謝!)

PM4:00 とりあえず外周のガラス清掃作業を終え、社食の売店で無糖のボス(冷)・110円を買って地下の控え室で休んだ。
思っていた以上の強い日射しにやられた私は、蒸れた足を靴から解放し、缶を開け、うなだれた。すると、背後から「久しぶりやん!」
と懐かしい声がした。反り返って見ると、かつてよくタッグを組んだワーキング・クラス・ヒーローが、疲労を浮かべた顔で
嬉しそうに立っていた。過酷な北部戦線の配属になったと聞いていたので、「・・生きとったんすか!!(笑)」と返すと
「ワシ、もうあっち行かんでええねん。」と顔を皺くちゃにして笑っていた。

印象的な笑顔を胸に、応援に向かうまでの間、少しだけエントランス内側の作業をした。ウォッシャーをかけるガラスの向こうの
広告塔には、蒼井優ちゃんが微笑んでいて、俺は、竹本君の気持ちが少しだけ解かった様な気がした。

PM6:30 与えられた全ての任務を完了し、少し風の出てきた街をチャリンコ漕いで帰った。夕空に微かに残った桃色の雲がきれいだった。
「4/21 月曜日」

第407話
2008年4月22日(火)
昨日に引き続き、初夏の陽気に見舞われた北区の街。飛び交う様々な弾丸を掻い潜りながら、俺は与えられた任務を遂行した。
無事、本部に帰り着き任務完了の報告を済ませた私は、装備をはずし、次なる任務のユニフォームに着替え、チャリンコを
漕ぎ出した。本日も、営業所近くの定食屋で昼飯にし、白身魚フライ・おくら・ワカメ酢・ごはん大・味噌汁を食って、まぶしい空の下、
次なる作業が待つ北浜へと向かった。


PM4:00 二日間の全作業を終了し、ガラスのエントランスの透明度維持に貢献した喜びを胸に、私は北浜を後にした。
まだまだ明るい空に、嬉しくなった私は、ギャラリーゼロの高森さんに会いたくなって思い切って電話した。

高森さんはアートフェア後のお忙しい中にも関わらず、お茶とかりんとうと尽きない話題でおもてなしして下さり、私は
すっかり和んでしまった。坂井さんの新作、とてもやさしくて、きれいでした。・・やはり欲しくなりました。
冷静になると買えなくなってしまうけど、やっぱりよかったです・・。

少し、気温の下がった街をすり抜けてスーパーを目指した。西向きの道路の信号待ちで、身体に浴びた夕日の光はあたたかくて
今日の思い出をやさしく包んでくれました。

帰宅して、ベランダに出ると苺の花が開いていました。ありがとう苺ちゃん・・!!
「4/22」

第408話
「本日の私」

第409話
2008年4月23日(水)
午前中から汗ばむ陽気となった本日の大阪地方。長袖の季節もそろそろ終わりなのだろうか。腕まくりして凌いだ私だった。
無事、任務を完了し、スーパー寄って帰宅した。久しぶりの家モードとあって諸動作に勘の鈍りを感じつつ、キャベツの
味噌汁を作り、わんぼるランチを用意して、ミヤネ屋見ながら頂いた。

食器の片付け〜晩の味噌汁の下準備までやって、コーヒーを入れ、わんぼる君に頂いたフィナンシェをパクリと食った。
NIRGILISをかけて、胸キュン100パーセントのエレクトロ・サウンドを部屋中に飛び交わせ、俺は次の作業が待つ部屋へ回転しながら
向かった。が、脳内にはそのサウンドとは対極の風景が広がっていて、残念ながら、CDは止めざるをえなかった・・。
(本日は、先日、どうにか完成まで漕ぎつけた作品を交え、次の作品のエスキースに取り組んだ。心にある画像と、帳面上の絵との
差異を詰めていくのは、なかなか大変であるが、上手くいけば、楽しくもなれる。何かに助けを求めても、結局まやかしにしか
ならんしなぁ・・。弱気になると全く自信が無くなるので、とにかく、描こうと思った動機だけを信じて作業を進めた。)

PM6:30 俺のだん吉は止まった様だったので、本日の成果を整理し、明日の作業をイメージし、道具を片付けた。
ニュースをつけて、おひたしの小松菜を洗った。今晩は、冷蔵庫にわんぼるカレーがまだあるので、炊飯と味噌汁を完成させるだけ
である。・・感謝!! (トマトも切ろうと思います。)
2008年4月24日(木)
一瞬、雨は上がったかと思われた今朝の大阪地方だったが、再び降り始めた雨はそのテンションを保ち続け、結局予報通りだった。
気持ちが折れるといつまで経っても終わらない運送業務を何とか完了させ、スーパーに向かった。生鮮コーナーの冷気に体温を
奪われない様、とっとと食材を買い求めて店を出た。外は霧雨に変わり、空は少し明るくなった様だった。

冷えた風が吹き始めた町をペダル漕いで帰宅し、野菜室から取り出した中心部のみとなったキャベツと、買って来たばかりの
巨大な春キャベツ・148円の一枚目とで味噌汁を作った。(鍋の中で、黄緑と薄黄の葉が、鮮やかさを増していく様子はきれいだった。)

完成した味噌汁とわんぼるランチを、教育番組を見ながら頂き、晩メシの下準備(味噌汁の用意〜カツオのタタキの煮切り作り)まで
済ませた。コーヒーを入れ、さっき買って来た清見オレンジを“ぶじゅッ”と食って、パネル制作に入った。
「今日の私」

第410話
「4/25 金曜日」

第411話
2008年4月25日(金)
雨が上がり気温の下がった北区の街の中、集金〜配達と与えられた任務を完了し、帰路に就いた。本日は25日とあって、一瞬、
背中に羽が生えたかの様な喜びを感じたが、毎度の如く各種払い込みにATMを巡る内、それが錯覚であった事を自覚した。
買い物を済ませ、疲労に支配された身体で鍵を開け、部屋に戻った。

私は棚から、8マイルのサウンド・トラックを取り出し、プレイヤーに入れた。スピーカーから響き始めた底から突き上げる様な
ビートとライムが、私を支配する全てのマイナス要因をエネルギーに変えてくれた。ベランダに出て、疲労物質が浸み込んだ制服を
ザバザバと洗濯し、今週を先週に変え、キャベツの味噌汁を作った。見るものが無いテレビを前に、結局、教育番組の高校講座に
チャンネルを留めて、わんぼるランチを頂いた。

ほうじ茶飲んで立ち上がり、晩のサバ煮と味噌汁の下準備を完了させた私は、スピーカーの音量を更に上げて、画室に向かい
キャンバスを張った。