「本日の私」

第440話
不定期連載
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2008年5月24日(土)
昨夜、日付が変わる前に予定されていた作業を無事終える事が出来た私は、週末金曜給料日で路地裏〜歩道〜酔っ払い〜
ギャル〜たむろする連中〜外人・車道・コインパーキング・ヘッドライト・ナンバープレート、全てがザワついて見える
心斎橋を軽い達成感ですり抜け、ひとまず家路に就いた。
本日は、引き続き高麗橋のカーペット洗浄が入っていたので、とりあえず帰宅し、暫しの休息を取ってから現場へと出向いた。

PM1:00 昨日からの一連の任務を無事達成した私は、わんぼる君に連絡を取り、そぼ降る雨の中、ペダルを踏み込んだ。
職務からの開放感のせいか、弱く降り続ける雨に不快感はなかった。

わんぼる君と中之島の国立国際美術館の図書室で落ち合い、ひとまず美術館を出て、通り向かいの定食屋で昼飯にした。
(私は、焼きそば・いんげん胡麻和え・白菜漬けに、ごはん中・味噌汁を、わんぼる君はマーボ豆腐・こんにゃくサラダを食った。)

腹ごしらえし、落ち着いた我々は、いざ美術館の“液晶絵画”なる企画展示に向かった。

(展示は、タイトルに記された通り、液晶のディスプレイに絵画の様に映し出される映像作品を中心としたものでした。
私的には、ジュリアン・オピー氏の作品が良かったです。ほんの僅かな、さり気ない動きのコンピューターアニメーションによる
人物画と、風景のタブローが並列して展示されていたのですが、端的に描かれた人物や、風景には、どれも日常に潜むセンチメントな
瞬間が、見事なさり気なさでドキュメントされていて心に刺さりました。また、どこまで本心か分かりませんが、描かれている風景に
至るまでの心理的な経緯が長々と作品タイトルになっている点もなかなかの相乗効果でした。今までコミカルな印象を持っていた氏の
作品に一貫して流れていた“何か”に今頃になって気付いた私でした。)

嬉しい気持ちで美術館を出ると、雨は止んでいた。チャリンコを押しながら、電車で来たわんぼる君と川の方へ歩き、朝日放送の
デッキに行ってみた。高い天井を見上げながら誰もいない階段を昇った。川に面したデッキに出ると、雲の隙間に水色の空が見えた。
階段の下のカフェで、コーヒーと“フォンダン ショコラに苺とアイスクリームを添えて ”という詩情溢れる品を頼んだ。
温かいショコラにスライスされた苺を載せて食べると爽やかな酸味がきれいな印象を残しながら消えていった。
テーブルのグラスの水と川面を眺め、オピー氏の作品が残した印象を想った。

ひとしきり休んで、二人でスーパーへ向かった。サゴシとしろ菜買って店から出てくると、また雨が降り始めていた。
やっぱ、あのまま止むわけ無いかと、傘さして帰った。
2008年5月25日(日)
AM11:30 塚口でのPタイル洗浄作業を無事終了した私は、予報通り上がった雨に、心も軽く駅へと歩いた。

MUJIに用があったというわんぼる君と難波のタワレコで落ち合い、商店街を北に歩いた。昨日観た展示のせいで、ジュリアン・
オピー氏の事が気になってしょうがなかった我々は、周防町通りの洋書屋さんへ行ってみる事にしたのだ。
(昼メシは、法善寺手前のインディアン・カレーに入り、卵入り、ピクルス大盛りを食った。わんぼる君は、ピクルスは並にしていた。)

洋書屋さんには、オピー氏の画集は4冊あって、画像に飢えた我々は、野獣の様に、ガウーッ!!とページを貪りめくった。
('80年代は、ホックニーっぽいタッチの立体絵画や、ジャッドっぽい金属製の什器みたいな作品だった様で、何も知らなかった私は、
そうだったのか・・と頷き、昨日感じたポップさの中に潜む悪意の様なモノの流れはここから始まっていたのかと納得した。
やはり昨日観た様な'90年代以降の記号化された人物や、風景が並列して構成された画集が一番グッと来た。結構な額の本だったので、
とりあえず立ち読みで応急処置して店を出た。)

四ツ橋筋の上島珈琲で、アイスコーヒー飲んで一休みし、スーパー寄って帰った。
作業着洗濯しながら植木に水を撒いて、パブリック・エナミーかけて、画室に入った。パネルにキャンバスを張っていると
窓の外からは、何処からか、アイロンをかける匂いがしていた。
「5/25」

第441話
「5/26」

第442話
2008年5月26日(月)
快晴で始まった週明け月曜の北区の街を集金〜配達と回り、買い物まで完了し無事、帰宅した。
いつもの様にキャベツの味噌汁作って、ミヤネ屋見ながらわんぼるランチを頂いた。晩の味噌汁の下準備を終え、
昨日張ったキャンバスが待つ画室へ入った。

PM6:30 ひとまず本日の目標地点まで到達し、道具を片付け、ニュース見ながら洗濯物を畳んだ。
今晩は、2匹200円で買った三重産の丸アジの刺身に、水菜のおひたし、トマト、納豆、味噌汁は、にんじん・じゃが芋に
ミョウガを入れようと思う。
「5/27」

第443話
2008年5月27日(火)
カッと暑い日差しが照りつけた本日の大阪地方。日本全国に敷かれた情報ネットワークの一端としての役割を果たすべく、
北区の街に投じられた私は、与えられた任務に奔走し、その行動の記録をタイムカードに打刻して営業所を後にした。

スーパーでの買い物を済まし、部屋に戻り、いつものパターンでわんぼるランチを頂いた。ちゃぶ台の上の空になった
食器を2秒ほど眺めた私は、パブリック・エナミーをかけ、血糖値の上昇がもたらす安堵を蹴散らし、食器洗い〜晩の味噌汁の
下準備と終え、画室の制作スペースの確保および諸道具の用意まで完了させ、ミュージックを止め、昨日の続きに入った。

出来れば本日、完成にまで至りたかった私は、只々作業を進めた。毎度の如く、あまり上手く行っている様には思えず、
その負けそうな雰囲気を、どうくつがえそうかと持ち前のやる気の無い目つきで思考と作業を繰り返した。

PM6:40 思いのほか早く完成に至った。ほとばしるシンセサイザー・サウンドが聴きたくなったので、多分OKだろうと思う事にし、
汚れた筆とバケツを洗い、裏面に日付とサインを入れた。

今晩は、わんぼる君が飲み会でいないので、お得意の動物性タンパク質投入型味噌汁で事を済ますつもりで198円のサバの切り身を
買って来た。ネギとショウガを入れれば、お椀の中は何処よりも熱いパーティーになると思うよ。
「本日の私」

第444話
2008年5月28日(水)
テレビから響くアラーキーの元気な声をしみじみと聴きながら朝食を用意した5月28日、水曜の私。
予報では夕方から下り坂との天気だったが、昼間は日焼けする程シャイニングだった。本日も、何やかんやと忙しい配達業務に
奔走し、何とか無事任務を達成、営業所を出た私はヘロヘロと病院へ向かった。

先日、優しい運送会社の人事の方から、1月に受けた健康診断で白血球数が基準値より少なかったので再検査を受けなさいとの
知らせを受けていたのだ。別段気にする程の事でも無いと思われたが、先日の腕の炎症と何か関連があったら困るので、念の為、
この前、腕の診察を受けた病院へ行くことにした。

結果は、心配せんでいいとのことで、一安心して、場外馬券売場裏の食堂で、肉じゃが・オクラ・ごはん・味噌汁を食らった。
せっかく梅田まで来たので大型書店で一しきり立ち読みしてからスーパーへ向かった。

買い物を終え、灰色が強まった空の下、カゴから飛び出した分葱を湿った風にそよがせながら路地を抜けて帰った。
今晩は、昨日、サバの半身を本日用に煮ておいたので、味噌汁作るだけである。100円で買ってきた生ワカメと、じゃが芋、
ミョウガで爽やかな汁にしようと思う。テレビをつけると甲子園球場は雨が降り始めていた。どうやら明日の日中まで雨とのこと。
頑張って行きたい。