「本日の私」

第451話
不定期連載
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2008年6月4日(水)
アラーキーの“知るを楽しむ”(早くも最終回)を見届け、ざわめきと感傷を胸に職場へと向かった今朝の私。すがすがしい
晴れの天気となった北区の街の中、配達業務に勤しんだ。

再び曇り始めた空の下、スーパー〜酒屋〜八百屋と巡り、晩の食材、焼酎、トマト、りんごで、チャリのカゴを満載にして
ヨタヨタとペダル漕いで帰った。(毎度の如く焼酎は値段と品質の兼ね合いから、買える銘柄が限られているのだが、我が家の
エース“さつま白波”は、一升瓶を飲み終えたばかりなので、少し気分を変えて“そば焼酎 雲海”にしてみた。)

感謝と共に、わんぼるランチを頂き、毎度の如く、晩の汁の準備まで済ませて作業に入った。本日は、次の作品のサイズを
決定し、パネルを作った。予定より早く進める事が出来たので、キャンバスまで作り、ニュース見ながらショウガをすりおろした。
今晩は、2匹298円で買ってきた丸アジの刺身である。明日からまた天気は下り坂とのこと。頑張って行きたい。
2008年6月5日(木)
予報より早い雨となった本日の大阪地方。すっかりびしょ濡れになった街の風景に、配達開始時のすがすがしさは遠い記憶の彼方へ
消え去ってしまった。

今日は、わんぼる君が休みだったので、直接家路に就いた。濡れたカッパをベランダに干し、ライブ・ヴァージョンのわんぼるランチ
を頂いた。温かい食事に感謝の意を込め、晩の米の仕込み〜味噌汁の下準備までやって、作業に入った。(今日はキャンバス張り〜
下地塗りの工程迄で店じまいとした。)

道具を片付け、外を見ると雨はだいぶ弱まっていたので、わんぼる君と連れ立って散歩に出た。歩道に出ると、傘を畳んだ若者が
歩いていて、どうやら雨は止んだらしかった。
特に行き先も無かった我々は、湿った路地をひょこひょこ歩き、高架下のTSUTAYAに向かった。ひとしきり立ち読みに耽り、店を出ると
また雨が降っていた。高架〜アーケードとつたい雨粒を除けながら、商店街の入った事が無い喫茶店に行った。
店内は、やたらと謎な仏像が多くどちらかと言えば胡散臭い雰囲気だったが、中央にはロースーターが据えられていて、コーヒーは
思っていたより透明感があって美味しかった。

雨は強さを増していたが、もう少しうろつきたかった我々は、駅裏のジャスコの2Fに向かい、チープなアクセサリー屋やらが放つ
B級キャンディみたいな風味で、雨でブルーな気持ちに花を添えた。

止みそうに無い雨の中、湿ったジーパンが心に及ぼす情けなさをこらえて帰路に就いた。予報によれば、明日は晴れ間が出るらしい。
頑張って行きたい。
「6/5」

第452話
2008年6月6日(金)
爽やかな晴れ模様となった週末金曜の大阪の街。週の疲れか、荷物の重みを体にくいこませながら与えられた任務を完遂した。
スーパーへ向かうと、野菜コーナーの平台には、ツルムラサキが100円の値札を掲げて積まれていた。昨日までのツルムラは、
季節がまだ早かったのか、198円の割にはショボい内容だったが、今日のは、本数的にも申し分無い上、ロープライスとなっていた
ので購入を即決した。これでようやく水菜と小松菜のへヴィローテーションから抜け出せそうである。

少し上がったテンションでチャリンコ漕いで、無事帰宅。持ち帰ってきた制服を洗濯しながら味噌汁作って、わんぼるランチを
頂いた。制作の方は、今日から新作だったので作業工程と完成画像のイメトレを繰り返しながら、晩のブリを煮て洗濯物を干した。
家事に一段落付け、パブリック・エナミーかけてコーヒーをすすり、気合い一発、いざ制作に臨んだ。

PM7:00 エスキースに基づき、予定していた全工程を終えた画面を眺めたが、思っていたほどハッピーになれなかった。
画面上を構成している要素は、全て私のしょぼくれた日常の実体験と取材に基づいた画題であるにも関わらず、その絵の具の
表層からは、ともすれば、オシャレを標榜しているかの様に見えかねない画像が定着している様に思えた。
ここで食い下がってはイカンよと、距離を置いて絵を眺め、その問題点について考えた。・・苦味や! この絵には現実の苦味が足りん!!
と思い込んだ私は、即座にオペの行動計画を立て、その術式を実行した。・・まぁ、さっきの段階でやめるよりはマシにはなったよと
己に言い聞かせ、裏面に日付とサインを入れ、鬱陶しい気持ちにオサラバし、炊飯を開始した。

PM7:40 帰宅したわんぼる君が茹でるツルムラサキの青くさい夏のにおいに懐かしい気持ちになりながら、汚れまくった筆とバケツを
洗い、そのノリで洗面台の掃除までやった。早く次の絵に行きたい。
「6/6」

第453話
2008年6月7日(土)
PM0:15 北浜のオフィースの床面を、無事健全な状態へと復旧を果たして来た私は、堺筋沿いの定食屋でお盆を手に陳列ケースの
前にいた。並んだ惣菜の価格と得られる栄養のせめぎ合いに思考を巡らせた結果、野菜イタメ・ポテ玉サラダ・ご飯(中)・味噌汁
(計505円)で、午前中の燃焼を補う事にし、テーブルに着いた。通り向かいのビル建設現場のアンチャンらで占拠された店内で、
ポテ玉にソースをかけ、卵が持つまろやかな風味をパンチの効いた惣菜へと転換した私は、味噌汁をすすり、野菜炒め→ご飯→
ポテ玉→ご飯→味噌汁→野菜イタメと“抜きと差し”の間合いで、それらと闘い、お茶をすすって店を出た。

血中に流れ始めた栄養に喜ぶ身体でチャリンコ漕いで、梅田に向かった。来週は父の日ということなので、JRの高架下にチャリを
止め、せめてもの感謝をと思い、贈り物をもとめて、予算と品質のせめぎ合いに頭を悩ませながら暫し梅田をさまよった。

何とか無事、贈り物を選定し、一旦帰宅した私は荷物を置き、図書館へ本を返してからスーパーに向かった。本日はカツオのタタキに
ターサイのおひたし、そして、ほのかな甘い香りが夏の潮騒の様な切なさを伝えてくれた“モーウイ”のラストを味噌汁で飾ろうと
思う。食べ終わってしまうのが寂しいけれど、出会えた事に心から感謝です。明日の大阪地方、再び雨とのこと。頑張って行きたい。
「6/7」

第454話
「6/8」

第455話
2008年6月8日(日)
東大阪の現場のエアコン・フィルター〜Pタイル洗浄作業を終えた私は、地下鉄車輌のモーター音と揺れが誘う眠気に襲われ
ながら我がホームタウンへと運ばれて行った。本日の大阪地方、予報の雨は早くに上がり、現場駐車場でフィルターの洗浄に
あたった私の首筋は、ジリジリとした日射しに焦がされ、早くもその日焼けを更新してしまった。(プール帰りの様な疲労感に
覆われながら聴く、日曜の空いた中央線のドアの開閉する音は地上とは切り離された時間感覚を生み出していて、妙な安堵感
だった。)

寝ぼけた頭で地上に這い上がり、車やバイク、歩行者信号の音が鳴り響く交差点を渡り、スーパーへ向かった。
日曜の鮮魚コーナーが指し示す価格と品揃えはいまひとつで、悩んだ挙句、小アジと呼ぶには大きく、塩焼きにするには小さい
3匹158円のアジを昨日の新タマの残りでホイル焼きにしようと思い購入した。(安く上がった分、98円のエリンギも買って一緒に
入れる事にした。) おひたしは昨日同様、静岡産のターサイ(100円)である。日焼けで火照った身体を冷ましてくれる事を願って
トマトも切ろうと思う。
2008年6月9日(月)
鈍く湿気た空気の中、時折り差す日差しが蒸し暑さを増長した本日の大阪地方。休み明けで少ない配達件数から、早々と任務
終了となった私は、スーパー〜パン屋と巡って帰宅した。
毎度の如くキャベツの味噌汁を作りながら冷凍ご飯をチンし、わんぼる君がせっせと作っておいて下さった手羽中の塩焼き、
ターサイのおひたし、さつま芋煮、卵焼きをおいしく頂いた。

飢えた細胞に栄養が届いて行く喜びを感じつつ、晩の味噌汁の下準備まで終えた私は、向井氏が提示するROCK史と現代日本の
諸事情が折衷した刺激的なサウンドの講義を受けながら画室へと入った。

PM7:30 無事、パネル〜キャンバスの作成まで達成し、炊飯を開始、ショウガをすりおろした。
今日は、かなり活きの良い和歌山産の丸アジが、旬なのか2匹200円で出ていたので三枚卸しの皮引き状態にまでして貰ってきた。
おひたしは、価格の都合からまたしても小松菜(88円)である。
「本日のわたし」

第456話