「本日の私」

第472話
不定期連載
BACK NUMBER
TOPへ
GALLERY
2008年6月25日(水)
スッキリとしない空の下、集金・配達に走り回り、何とか任務を終えた私は、毎月恒例の各種払い込みに金融機関を巡り、
手にしたばかりの金をビュンビュンすり減らしながら梅田の写真屋に向かった。なけなしの金で愛用の業務用カラーフィルム・
感度100・36枚撮り10本パックを購入。生活にフィルムが戻ってきた喜びを胸にスーパーへと向った。

無事、買い物を済ませて帰宅。晩の味噌汁の下準備をしながら、遅めのわんぼるランチを頂き、作業に入った。
結局、今日も、ほとんどが乾き待ちの時間となった為、部屋の掃除をし、とりあえず現在完成している絵を一旦、エアパッキン
で包んだ。

今晩は、アジの刺身に、ツルムラサキのおひたし、味噌汁はジャガイモ・ミョウガに100円で買って来たうまそうな生ワカメを
入れようと思う。
2008年6月26日(木)
蒸し暑い空気を掻い潜り東奔西走、久々に会ったライバル社の陽気なアンチャンとの挨拶で、意気揚々業務に勤しんだ私は、
スーパーでの買い物まで完遂し、無事帰宅。わんぼるランチを頂き、晩の味噌汁の下準備をしながら、4匹298円で買って来た
千葉産・中羽イワシの煮付けを完成させて作業に入った。

昨日に引き続き、本日も乾き待ちとなっていたので、完全に頭をスイッチ出来ないまま画帳を開き、へにゃへにゃと次のプランを
練っていると、作品の撮影を頼んでいたカメラマンさんから、明日の午後なら行けるとのお知らせを受けた。こりゃ、ナイスな
タイミングやと立ち上がり、とりあえず昨日梱包しておいた絵を一まとめにし、紐掛けした。

PM7:20 わんぼる君帰宅の知らせを受け、ニュースと“TOY DOLLS”(・・かなり久しぶりにかけてみた。思っていた以上にハートに
ギュンギュン響いて元気になれた。)を同時に響かせながら炊飯を開始。おひたしの小松菜を洗い、明日の撮影を待つ一かたまりに
なった絵を眺めながら納豆を練った。
「今日の私」

第473話
2008年6月27日(金)
梅雨の中休みか、晴れ間が広がった本日の大阪地方。週末金曜の忙しない街の中、毎度の如く蒸し暑い空気を掻い潜り、運送業務に
東奔西走。無事、与えられた任務を完遂した私は、ダッシュで営業所近くの定食屋に赴き、アジの南蛮漬け・納豆・白菜の漬物・
ごはん大・味噌汁をカッ食らった。
(本日は、いつもお世話になっている浪速区の写真スタジオ・PIXさんへ作品を撮って頂きに向かうことになっていたのと、
わんぼる君から、今晩はイレギュラーな業務の応援で遅くなるので晩飯は一人で食べてくれと伝えられていたので、わんぼるランチ
を晩にまわす事にしたのだ。)

飢えと疲労でやられた身体に、栄養を手にした血液が回り始めた中、ペダルを踏み込み、まずは、先日の甲子園へのお招きの御礼も
兼ね、PIXさんへ何かお土産をと思い、梅田の百貨店へ向かった。暫し地下の食品売り場をうろつき、結局、自分が食いたいと思った
笹に包まれた涼しげな葛まんじゅうに決定。こしあんと抹茶を購入し、ダッシュで帰宅。準備万端で私の帰りを待ち構えていた作品を
抱え、地下鉄に乗り込んだ。

PM3:30 PIXさんに到着。早速、作品を開梱。何も出来ない私は、ポラ〜本チャン撮りの間に次の作品を開梱しつつ、撮影終了した
作品を梱包と繰り返した。初めて画室の外へ出て、第三者を交えて作品と対峙出来る撮影の時間は、描いた本人の私にとっては、
不安と恥じらいが交錯しつつも、これから外に出て行く作品に勇気をもって開き直れるとても大切なステップだと思っている。
(次々と撮影が進行して行くスタジオのスピーカーからは、FMでアジアン・カンフー・ジェネレーションやアムロちゃんが流れていて、
制作時、画室では鳴っていなかったサウンドを背景に、我が作品と向き合いながら、もし、これらが自分とは違う現実に生きる人に
繋がったら、それ以上に嬉しいことはないなぁ・・と思う私だった。)

PM5:30 無事撮影終了し、お茶を頂いた。(私は、自分が食いたかった抹茶あんの葛まんじゅうを頂いた。)
ひとまず現時点に一区切りつき、次への意気が上がった私は、多忙な中、時間を割いて下さったスタジオのみなさんに感謝を述べ、
ビールが飲みたくなる様な夕空を見上げながら帰路に就いた。
「本日の私」

第474話
2008年6月28日(土)
PM1:00 北浜の現場床面の平和維持に全力で貢献した私は、梅田に出てきていたわんぼる君とBOOK1stで合流、ACTYの古潭に
向い、トマトと野菜が爽やかに美味しい“色彩麺”を注文。疲労にまみれた顔に笑みを浮かべ、梅雨の憂鬱を軽減した。

胃の中でやさしく吸収されていく色彩麺に感謝しつつ店をでた我々は、27階に上がり大阪駅北口の工事現場を眺めた。
いつの間にか基礎工事は終わったらしく、鉄骨の上には大きなクレーンが乗っかっていた。そのイカしたオレンジの雄姿に
気持ちを煽られながら、暫く現場全域を眺め、市バスが操車場にきれいに駐車するのまで見届けて、27階を後にした。

阪神百貨店に寄っていくというわんぼる君と別れ、パラつく雨の中、心地良い眠気におそわれながらチャリンコ漕いで帰った。

無事、部屋に戻り、薄汚い作業着を洗濯しているとわんぼる君も帰って来たのでコーヒーを入れた。
色彩麺の残像にカフェインがスムーズに重なるのを確認した私は、バケツに水を汲み、長唄を聴きながら気持ち程度の作業を
した。明日は二人揃って休みなので、今日は外食にしようと思う。
「ほんじつの私」

第475話
2008年6月29日(日)
嬉しくも休みとなった本日。先日観た吉志部神社の美しさが心の中に静かに残っていた私は、どこか古建築が観たいなぁ・・
と思いつつ、夜明け前のふとんの中で目を閉じていた。結局、持ち前の燃費の悪さから、いつもの時間に便意と空腹に襲われ、
起き上がり朝メシの用意をした。

頭の中には、水無瀬神宮の茶室が候補として上がっていたのだが、確か事前予約が必要だったはずだった。たぶん観れんやろうな
と思いつつ、電話番号を調べ、起きて来たわんぼる君と“おはよう日本”見ながら朝メシを食った。

AM7:45 神社やったら早くても大丈夫やろうと電話してみると、受話器の向こうには“おはようございます!”と爽快な声の神主さん(?)
が出て来られ、残念ながら今日は、見学が混み合っているので、また一週間前に電話してみて下さいと申し訳無さそうに告げられた。
やはりそうだったか・・と軽くショックを受けながら礼を述べ受話器を置いた。

わんぼる君と掃除しながら話し合った結果、古建築ではないが、行った事が無くて、自然と調和してそうな大和文華館に行ってみる事
にした。

難波から近鉄線に乗り込み、学園前下車。案内に従い歩き、AM10:00 開館間も無い正門前に到着。薄曇りの空からは、少しだけ光が
差していた。建物はこんもりとした森の奥に建っているらしく、様々な樹木の中をきれいに掃除された砂利道が続いていた。
豊かな植生の醸す雰囲気にどことなく古墳や神社に似たものを感じていると、砂利道の左手の樹々の間に鳥居が見えた。順路以外は
立ち入り禁止との事で、詳しくは観れなかったが、丁寧に手入れがなされているのは分かった。どういった経緯でここに文華館が
建てられたのかは分からないが、おそらくは鎮守の森だったのではなかろうか、と思いを馳せながら坂道を歩いた。
(砂利道の脇には、萩やアザミが飛び出して生えていて、それらを除けて熊手がかけられているのが何とも言えなかった。)

樹々の間を上りきると、きれいな海鼠壁のフラットな建物が現れた。水平に伸びる水色のタイルと白い壁にハーッとため息ついて
中に入ると、日本の建築様式とモダニズムが折衷した気品ある美しい空間が待っていて、後は、我々は心ゆくまで、その溢れる
サーヴィス精神の中、鑑賞と体験に浸った。最後は外周の紫陽花の小道を歩き、しっとりとした情緒で心に残る印象を包みながら
文華館を後にした。

この後は、地元スーパーを覗き、魅力的な価格、色彩の奈良産トマト・万願寺唐辛子・いちじくを購入、文華館で鑑賞割引券を頂いた
松柏美術館を観て(こちらも、やさしくて素晴らしかった・・!!)大阪へと帰った。

今晩は、冷凍ご飯・納豆をメインに、万願寺焼いて、手抜き料理で胃にやさしく行こうと思う。(トイレにはさっそく、松柏美術館で
買って来た上村松篁氏のとても愛らしい千鳥の絵葉書を飾った。明日からまた頑張って行きたい。)
「ほんじつのわたし」

第476話