「本日の私」

第477話
不定期連載
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2008年6月30日(月)
6月末日となった週明け月曜の本日。集金〜配達に加え巨大荷物の乱発でいきなりハードなスタートとなった我がコースであった。

どうにか無事に任務を終え、営業所に戻ると、所長から、明日から始まるキャンペーンの装飾に協力してくれないかと依頼された。
何でも、個人目標を記入する紙を、夏らしく海の生き物の形にして、所内に掲示したいとの事。先日も、そのキャンペーン準備の
一環で、所内装飾用に車の絵を描いて欲しいとの依頼を受け、心の完成図がおぼろげなままペンをとった私は、対外的にもエコ・
アピールになりそうなハイブリッドの2tトラックをモティーフに選び描いてみたのだが、いかんせん着地点不明で描き進んで
しまった為、意欲を向上させる様なポップな絵というより、叙情性があるといえば聞こえは良いが、実際のところ、労働の疲労感
が漂うトラックを描いてしまったのだ。

あれで、もう俺には何も依頼は来ないだろうと思っていたのに・・。所長は俺の暗さを知らんねん・・。海洋生物を掲示する背景の
海のボードは、社員の方(サーファー)が準備されていて、所長は、そこにヤドカリとイルカをレイアウトしたいとの事だった。

可愛いヤシの木まで配されたポップな砂浜と海のボードで、全然俺よりイケてるやん・・!! こんなん申し訳ないわ・・。と嘆きつつも、
描いて描いてとせがまれる悲しさ・・。とりあえず、先日のリアリティはいらんと自分に言い聞かせ、リクエストのヤドカリとイルカ
を目標欄の余白重視で太めに描いた。そんなにウケてもいなかったが、問題は無さそうだった。(イルカとヤドカリだけでは生態系の
中間層がいないなぁと鉛筆をにょろにょろ動かしていると、隣チームのグループ長の方から、頑張ってるからこれやるわと、ホーム・
メイドのマドレーヌを頂いた。配達でエネルギーが枯渇していた私は、ヒャッホーッ!!と喜び、丁重に御礼を述べ、所内の自販機で
ジョージア・無糖を購入し、バフバフと食らい、描き続けた。)

最終的には、熱帯魚みたいな魚(職場の温度を下げぬよう種類は特定しなかった)、ホネ貝、ウミウシ、カニ(ハサミに目標が書ける様、
シオマネキとノーマル・バージョン)、そしてウツボ、ハリセンボンを描いた、が、はっきり言って謎の生物のオンパレードとなった。
これらで我が営業所のキャンペーン意欲が向上するのか不安であったが、人数分複写・増殖させ、置き逃げするように会議の始まった
営業所を後にし、スーパーへと向かった。
2008年7月1日(火)
快晴でスタートした'08年7月の大阪地方。毎度の如く東奔西走、無事本日の職務を全うした私はスーパー寄って帰宅。

感謝と共にわんぼるランチを頂き、味噌汁の下準備をしつつ、199円で買ってきた三重産のサバの煮付けを完成させ、コーヒー
飲んで作業に入った。(工程上、本日も乾き待ちとなった為、まずは写真の整理をし、いまひとつ散漫な脳状態で、帳面を開き、
今後の展開についてエスキースをした。)

PM7:00 わんぼる君帰宅の知らせを受け、炊飯を開始。今日は、今季初となる冬瓜を買ってきた。南瓜・ニンジンと共に味噌汁に
入れて食おうと思う。(予定では、南瓜の甘みがブースターになって、冬瓜の爽やかさが夕空に弧を描くはずや・・。)
おひたしは、エンサイ・99円である。すぐ色が変わるけぇ、茹でたら早よ食わな・・!! (北九州弁)
「ほんじつの私」

第478話
2008年7月2日(水)
なかなかの夏日となった本日の大阪地方。イレギュラーな集配およびエトセトラに追われた私は、脳内設定を半狂乱・戦闘モード
に切り替え、全身をヌルヌル感で覆われながら、あてがわれた全ての任務を完遂。スーパーへ向かった。

白く涼しい店内の生鮮コーナーには、99円のポップを掲げたツルムラサキが並んでいた。強い日射しでやられていた私は、その青々
とした力強い色彩に励まされ、心に希望の光を取り戻し、価格と品質のせめぎ合いを楽しみながら買い物を済ませて帰宅した。

予報では、天気は午後から下り坂とのことだったが、まだしばらくは持ちそうだったので、ひとまず、わんぼる君が洗っていって
くれた洗濯物を取り込み、ベタつくTシャツ・制服〜ジーンズを洗濯した。洗濯機が掻き回す水の音に、疲労が解けていくのを感じ
ながら、一日に二度洗濯できる喜びを胸に、植木に水をあげ、シャワーを浴びた。

疲労にオサラバした私は、濃い目に作ったキャベツの味噌汁でわんぼるランチを頂き、晩の味噌汁の下準備まで完了させて、作業の
続きに入った。

今晩は、鮮度の良さにかまけて、手抜き料理の最高峰・アジの刺身である。味噌汁は昨日同様、冬瓜・カボチャ・ニンジンで行こうと
思う。
「本日の私」

第479話
「7/3」

第480話
2008年7月3日(木)
亜熱帯と化してしまった'08年7月の日本・大阪。2発のスコールで、蒸し暑さを増した北区の街に降り立った私は、毎度の如く、
任務遂行に東奔西走。ヒリつく肌とベタつき、消費、疲労と引き換えに業務を完了し、スーパーへと向かった。

本日は、わんぼる君が遅番の為、一人分の簡素な買い物で済ませて帰宅。ダイナソーJrをかけ、ダルダルなヘヴィー・サウンドで、
体内の疲れと部屋の空気を同調させながら、買ってきた食材を冷蔵庫にしまい、シャワーを浴びた。

薄暗い画室に鎮座する、うまく行っているとは思えない途中の作品をチラ見しつつ、キャベツの味噌汁を作り、ミヤネ屋見ながら
わんぼるランチと頂いた。

今晩は、ニンジン・じゃがいも・冬瓜の味噌汁に、豚コマ(明日のわんぼるランチ用のを少々)とゴーヤを入れてチャンプルー汁に
してしまうつもりだ。制作、頑張って、少しでも明るい気持ちで晩メシに臨みたい。
「7/4」

第481話
2008年7月4日(金)
昨日よりワンランク熱気が上がった本日の大阪地方。来週には梅雨明けの噂も聞かれ、照りつける日射しに、いよいよの覚悟と
諦めを強いられながらの配達業務となった。

本日も、夜は一人メシとなる為、キャベツとモロヘイヤだけ買って帰宅。持ち帰ってきた汗臭い制服を洗濯しながら、コンクリート
のベランダで、熱気に耐え忍ぶ萩やイチゴに存分に水を浸ませ、葉の表情が落ち着くまで水をふりかけた。

シャワーを浴び、空腹がくい込む身体にわんぼるランチをチャージした私は、感謝を胸に立ち上り、作業の続きに入った。

今晩も、昨日同様のチャンプルー味噌汁に、冷凍ごはん・モロヘイヤのおひたし・納豆・トマトで明日に備えたい。
2008年7月5日(土)
急に青く、高くなった空からバチコーンとまぶしい太陽が照りつけた本日の大阪地方。グアッと上がる気温とテンションに
梅雨明けの予感を感じつつ、俺は中央区釣鐘町のビル清掃現場にいた。噴き出す汗も開き直れば心地良く、俺達は外階段〜
Pタイル、そしてカーペットと篭る熱気と闘いながら、ひたすら洗浄に当たった。
本日は、久々の全フロア清掃となっていて、気持ちが折れる事だけが一番怖いことを知っている俺達は、気合いと集中力、
リズムとコンビネーションに重きを置き、只々、完全な仕上がりを夢見て作業を続けた。
(昼メシは、現場近くのどこにでもある様なそば屋に入った。運ばれてきた冷たいほうじ茶に救われながら、ザルと木の葉丼の
セットを頼んで、ズババッと食った。ネギとワサビに冷たいソバの風味は最高にうまかった。)

PM4:00 無事、全ての任務を完了し、見事、新鮮な床面を取り戻したビルに別れを告げた。西に傾き、黄色味を帯びた光に照ら
されながらの帰り道、街路樹もビルも、空気も、みんな夏の情感をまとっていて、俺はそれらがもたらす高揚感にザワつきながら
チャリンコを漕いだ。
中之島の公園の脇で信号を待っていると、石畳の街路樹が西日に透けていて、その下のベンチには、クールな男性に、お洒落を
した女性がキュートな仕草で話しかけていた。ハンドルにもたれ、ボーッとその風景を眺めていた俺は、二人は、今日やるな・・
と思いながら、視界の端で青に変わった信号に、よっこらせとペダルを踏み込み、帰路に就いた。
「7/5」

第482話